リニア工事で相次ぐ事故 水源枯渇や路面隆起にJR東海「打つ手がない」 住民説明会も1時間で打ち切り
リニア工事事故相次ぐ 水源枯渇や隆起 JR東海「打つ手がない」 (23.02.2026)

リニア工事で相次ぐ深刻な事故 水源枯渇や地盤沈下に技術的限界

JR東海が進めるリニア中央新幹線(品川―名古屋間)の工事現場で、水源の枯渇や路面の隆起など重大な事故が相次いで発生している。岐阜県瑞浪市大湫町では2024年5月、トンネル工事が地下水脈を断ち切った影響で14カ所の水源が減渇水し、地盤沈下が進行。床が14センチ沈んだ公共施設も現れ、地域社会に深刻な影響を与えている。

大深度工事に潜む危険性 酸欠事故の恐れも

東京都内でも事故は続発している。2024年8月には品川区の目黒川で、同年10月には町田市の民家庭で酸欠空気の気泡が湧出。2025年10月には品川区で路面が13センチ隆起する事態が発生した。これらの事故には共通点がある。いずれも地下40メートル以深の「大深度」で、直径14メートルの巨大掘削機「シールドマシン」を使用していたことだ。使用された添加剤の気泡剤中の空気が地表に湧き出し、事故を引き起こした。

特に危険だったのは町田市の事例である。民家の庭に湧出した気泡の酸素濃度はわずか1%で、もしトイレや浴室などの狭い空間に溜まれば酸欠死の可能性もあった。住民にとっては「寝耳に水」の出来事だったが、その背景には「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度法)がある。この法律は大深度での工事について住民への周知や補償を不要としており、事故発生まで住民は自宅直下が掘削されることを知らされなかった。

JR東海「打つ手がない」と回答 技術的限界を認める

リニア工事の事故から浮かび上がる問題は二つある。第一に事前調査の不足と未熟な技術力だ。事業認可は2014年だが、それ以前から市民団体が警告してきた「深刻な環境問題」が現実化している。JR東海は昨年6月、大湫町の住民に対し「水は戻せない。地盤沈下は進行する。打つ手がない」と回答。現在の技術では対応できないことを認めた。

第二の問題は住民軽視の姿勢である。品川区で開催された住民説明会では、路面隆起に不安を抱く住民に対し、JR東海が設定した時間はわずか1時間。質問を求めて多数の手が上がっても「これで閉会します」と打ち切り、実質的な意思疎通を図らなかった。JR側は「2日間で丁寧に説明を尽くすので工事再開をする」と繰り返すのみで、住民の懸念に真摯に向き合う姿勢が見られない。

米国では反対運動で計画中止 日本の現状と課題

このような状況に対し、国や自治体は指導をせず、メディアも無関心であることがさらに問題を深刻化させている。対照的な事例が米国にある。2015年からJR東海の意向を受けた鉄道会社がリニア計画を推進したが、複数の自治体が反対を表明。メディアが忖度せず報道を続けた結果、連邦鉄道局が「環境破壊を起こし、採算も取れない」として2025年8月に計画中止を決定した。

米国で中止が実現したのは、市民自らがリニアのメリットとデメリットを考え、環境破壊や地域崩壊を恐れて反対運動を展開し続けたからである。日本のリニア本線工事はまだ始まったばかり。「夢の超特急」という未来図に惑わされず、一人ひとりの市民がこの計画について自ら考え、その是非を判断することが求められている。

現在の技術では解決困難な問題が山積みとなる中、リニア計画の継続が本当に地域社会や環境にとって最善の選択なのか、改めて問い直す時期に来ている。