JR指宿枕崎線にサイクルトレイン導入、自転車持ち込みで新たな観光需要を創出へ
鹿児島県とJR九州は、利用者が減少しているJR指宿枕崎線の指宿―枕崎間において、新たな鉄道需要を創出するための実証事業に本格的に着手しました。この取り組みの中心となるのが、列車内に自転車をそのまま持ち込める「サイクルトレイン」の導入です。これにより、煩雑な作業なしで手軽に自転車を利用できる環境を整え、観光客や地元住民の利便性向上を図っています。
サイクルトレインの実証運行で地域活性化を検証
2026年1月31日朝、指宿駅には自転車愛好家や地元住民ら約30人が集結し、サイクルトレインとして限定運行された臨時列車に自転車と一緒に乗り込みました。参加者たちは、バンドを使って自転車を車内の柱に固定し、列車に揺られながら山川駅や枕崎駅に向かい、沿線でのサイクリングを楽しみました。通常、自転車を列車に持ち込む際には分解して専用の袋に入れる必要がありますが、サイクルトレインではこうした手間がかからず、利用のハードルが大幅に低下しています。
鹿児島県の担当者は、「関係機関が一致団結して、指宿枕崎線の価値を高めたい」と意気込みを語りました。この事業では、サイクルトレインに加えて、客と荷物を同時に運ぶ「貨客混載」なども検討されており、多角的なアプローチで鉄道利用の促進を目指しています。沿線地域では、各駅から自転車で周辺の店舗や観光地を訪れることが可能となり、回遊性の向上による経済効果が期待されています。
利用者の声と地域への波及効果
桜島の観光ガイドを務める鹿児島市在住の乗客(35歳)は、山川駅で下車後、開聞岳周辺をサイクリングした感想を次のように述べました。「走りやすいコースで景色もきれいでした。列車にスムーズに自転車を持ち込めるので、利用しやすかったです」。このような利用者の声は、サイクルトレインの利便性を裏付けるものであり、新たな観光需要の創出につながる可能性を示しています。
指宿枕崎線は、鹿児島中央―枕崎間の87.8キロを結び、本土最南端を走る路線として地元住民に親しまれてきました。しかし、近年では利用者の減少が課題となっており、営業利益が4億9200万円の赤字に陥っている状況です。今回の実証事業は、こうした課題を解決し、鉄道の持続可能性を高めるための重要な一歩として位置づけられています。
今後、鹿児島県とJR九州は、サイクルトレインの運行データを分析し、地域への波及効果を詳細に検証する予定です。これにより、観光振興や交通手段の多様化を通じて、指宿枕崎線の活性化と地域経済の再生を目指す取り組みがさらに加速することが期待されています。