国の運輸安全委員会は2026年5月28日、2024年11月に北海道森町のJR函館線で発生した貨物列車脱線事故に関する調査報告書を公表した。報告書は、現場近くの踏切のレールが海水の影響で著しく腐食し、列車通過時に破断したことが事故原因であると結論づけた。
事故の概要
事故は2024年11月16日午前1時36分、森駅と石倉駅間の鷲ノ木道路踏切で発生。21両編成の貨物列車が踏切通過後、後方5両が脱線し停車した。下り線での脱線直後、上り線を別の列車が通過したが衝突はなく、死傷者も出なかった。
レールの腐食状況
踏切の下り線右レールは約4メートルにわたり大破。報告書は、レールの中央部(新品で厚さ15ミリ)が腐食により3ミリ以下にまで薄くなっていたと推定。強度が低下し、列車の荷重に耐えられず破断したと分析した。
海水の影響
大破したレールから塩分が検出された。同踏切は近くの漁港から海産物や漁具を運搬するトラックが頻繁に通行し、荷台から海水がこぼれる様子が目撃されていた。下り線右レール側は谷状にくぼんでおり、実験でもこぼれた水が右レール付近に流れ込むことが確認された。運輸安全委は「海水の繰り返しの落下により踏切内に塩分が持ち込まれ、腐食に影響した可能性がある」と結論づけた。
JR北海道の管理問題
大破したレールについては、JR北海道が2024年に実施した超音波検査で底部の腐食が確認されていた。しかし、同社の当時の規定ではレール交換が必要な水準に達しておらず、交換されなかった。報告書は「管理フローを逸脱するものではなかった」としつつ、「検査は行われていたものの、腐食の程度を十分に把握できていなかった」と指摘。踏切でのレール腐食や海水持ち込み確認時の管理厳格化を求めた。
安全確認の不備
また、脱線直後にJR北海道の輸送指令が安全確認前に上り線に列車を通したことについて、「事故の被害が拡大する場合もあり得る」とし、より慎重な対応を求めた。
JR北海道のコメント
JR北海道は28日、「当該事故を発生させたことを重く受け止める。同種の事故を発生させないよう取り組む」とコメントした。運輸安全委はレール検査手法の改良など再発防止策を求めている。



