福島県浪江町で、イノシシによる農業被害が深刻化している。町は被害拡大を防ぐため、捕獲活動の強化や電気柵の設置など、対策を一層強化する方針を固めた。
被害の実態
浪江町内の農地では、イノシシによる農作物の食害や土壌の掘り返しが相次いで報告されている。特に、水稲や野菜などが被害の対象となっており、農家からは「収穫量が激減した」「廃業を検討せざるを得ない」といった声が上がっている。町の調べによると、2024年度の被害額は前年度比で約1.5倍に増加しており、このまま対策を講じなければさらなる拡大が懸念される。
農家の悲痛な声
町内で約20年間農業を営む男性(65)は「イノシシが夜間に畑に入り込み、作物を根こそぎ食べてしまう。防除に労力と費用がかかり、経営を圧迫している」と訴える。同様の被害は町内各地で確認されており、農家の高齢化も相まって、営農継続の危機が深刻化している。
町の対策強化
浪江町はこれまでも有害鳥獣捕獲事業を実施してきたが、被害が収まらないことから、新たな対策を打ち出す。具体的には、捕獲隊の増員や銃器・わなの増設、電気柵の設置補助金の拡充などが柱となる。また、町は県や地元猟友会と連携し、効率的な捕獲方法の導入を図る。
地域ぐるみの取り組み
町は住民に対し、農地周辺の草刈りや廃棄物の適正処理など、イノシシを寄せ付けない環境づくりを呼びかけている。さらに、被害が特に大きい地区では、集落全体で電気柵を設置するモデル事業を開始。町の担当者は「地域全体で取り組むことで、効果を最大限に高めたい」と意気込む。
今後の見通し
町は今後、対策の効果を検証しながら、必要に応じてさらなる施策を検討する。また、国や県に対して、捕獲報奨金の増額や防護柵設置への補助拡充を要望していく方針だ。農家からは「早急な対策を期待している」との声が上がっており、町の手腕が問われている。



