2024年の能登半島地震と奥能登豪雨で大きな被害を受けた石川県輪島市の白米(しろよね)千枚田で9日、田植えが始まった。被災後、住民らでつくる白米千枚田愛耕会が、崩れてひびの入った田を修復。山から海にかけて連なる大小1004枚の棚田のうち、今年は昨年の倍にあたる480枚で田植えをした。
会費を払って田植えや稲刈りに参加する「オーナー会員」ら、全国から集まった約90人が参加。海からの強い風が吹くなか、鳥やカエルの鳴き声が響く田んぼに入り、愛耕会メンバーに教わりながら苗を植え付けた。
富山市から父親と来た小学2年の鈴木陽大(はると)さん(8)は、ご飯が大好きで、自分で育てた米を秋に食べるのを楽しみに参加。「水があったかくて、楽しかった」と話した。
恩返しから変わった心境
「あたたかいおにぎりが、とにかくおいしかった」。石川県輪島市で、白米千枚田を守る地域おこし協力隊員として活動する酒井和也さん(44)は、その味をいまも覚えている。
能登半島地震が起きた2024年元日は観光客として、この場所にいた。愛知県刈谷市の自宅からドライブを楽しみ、千枚田へ。棚田を見下ろす道の駅に車を止め、あぜ道がライトアップされるのを待っていた。午後4時10分、とてつもない揺れが襲った。地震発生後、停電や断水の中、地元住民から握ってもらったおにぎりの温かさが忘れられず、移住を決意。今年3月に地域おこし協力隊員となり、田植えにも参加した。
酒井さんは「恩返しのつもりだったが、今は自分がこの田んぼを守りたいという気持ちに変わった」と語る。被災後、愛耕会は崩れた石垣やひび割れた田んぼの修復に追われたが、今年は昨年の倍の面積で田植えが可能になった。
参加したオーナー会員の一人、東京都から来た女性(52)は「テレビで見るだけではわからない、現場の空気を感じたかった。稲が育つのを楽しみにしたい」と話した。秋には稲刈りが予定されており、収穫した米は参加者に配られる。



