仙台中心部のクマ緊急銃猟、舞台裏を徹底解説 5m接近もドローンで援護
仙台中心部のクマ緊急銃猟、舞台裏を徹底解説

東北最大の都市・仙台市の中心部に現れたクマに対し、2026年4月19日に緊急銃猟が実施された。クマはマンションの敷地内にとどまること十数時間。市や関係者への取材から、対応の舞台裏を追った。

深夜の電話から始まった緊急事態

県庁や市役所にも近い市街地への出没が報じられ大騒動となる前の19日午前2時ごろ、野生動物の調査・研究などを手がける民間会社「東北野生動物保護管理センター」代表の宇野壮春さん(47)に、市環境共生課の職員から電話があった。

「木町通にクマが出ました。麻酔銃で協力してもらえませんか」

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深夜に、緊急銃猟の依頼。従来は考えられなかった場所への出没。緊急事態だと分かったが、答えはノーだった。

「クマは麻酔が効くまで7~8分は動ける。夜間で視界が悪く、しっかり包囲できていない状態では、対応できません」

野生動物と向き合って27年の宇野さん。緊急銃猟を盛り込んだ鳥獣保護管理法改正の検討会で委員も務めた。一発で急所を撃ち抜いて仕留められる猟銃での駆除が適切だとアドバイスして断った。

ドローンでクマを発見

午前6時すぎ、今度はドローン事業を手掛ける「BlueDrone」の青屋宰さん(45)に連絡が入った。

「木町通に出たクマが茂みに入ってしまって見失いました。ドローンで捜してもらえませんか」

就寝中だったが、市職員からの依頼を二つ返事で引き受けた。青屋さんは国家資格「一等無人航空機操縦士」を取り、ドローンでの撮影、映像制作、インフラ点検などが仕事。猟友会員でもあり、わなに動物がかかっているか確認する際に危険が多いことから、ドローンで巡回するなど活用法を模索してきた。

昨年、猟友会のクマ勉強会に参加し、自分の仕事を役立てられないかと提案。非常時に備えて、入り組んだ建物の間や木々を縫うように飛ぶ技術を磨いていた。

午前7時半。現場に着いた青屋さんは、専用のゴーグルを着け、小回りがきくFPVドローンで探索。1時間もしないうちに、木の下に黒々とした塊を見つけた。

クマは、マンション敷地の境界にある壁に頭を向け、尻をこちらに向けてうずくまっていた。「くつろいだ様子でドローンを見上げていて驚きました。人慣れしてる印象でした」と青屋さん。

箱わな設置も膠着状態

市は猟銃による緊急銃猟を検討し、ハンターに依頼。しかし、人口密集地では困難だった。午前9時半ごろ、猟友会のメンバーらが蜂蜜をエサに箱わなを設置。捕獲を試みたが、約7時間半、クマは茂みにとどまり続けて膠着状態が続いた。

夜になれば再びクマが動き出す危険性がある。市は緊急銃猟のため、県警に付近の道路の交通規制を依頼。現場周辺に近づかないよう、近隣住民らに呼びかけた。

麻酔銃での緊急銃猟を決断

午後5時前、再び宇野さんに麻酔銃での緊急銃猟の要請があった。「これ以上引き延ばせない」。市と意見が合致し、引き受けることにした。

日没直前の午後6時ごろ、市は緊急銃猟の実施を決めた。クマが動いた時に見失わないよう、逃走経路になりうる場所に警察官が待機。青屋さんが現場付近に止めた車からFPVドローンで、クマが昼間いた場所から移動していないことを確認した。

「それでは、お願いします」という合図で、宇野さんが麻酔銃を発射。クマは麻酔が効いて動かなくなり、その後、安全を確認した上で猟銃でとどめを刺された。体重125キロの成獣だった。

今回の緊急銃猟は、ドローンによる監視や麻酔銃の使用など、最新技術と伝統的な狩猟技術を組み合わせた先進的な事例として注目される。市は今後、同様の事態に備えてマニュアルの整備を進める方針だ。

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