茨城県内の2025年1月から5月までの交通事故死者数が前年同期比で11人増の48人(速報値)となり、都道府県別で5番目に多いことが県警のまとめで明らかになった。死者の約6割を65歳以上の高齢者が占めており、高齢運転者による事故も多発している。県警は高齢者に対し、自動ブレーキなどを備えた「安全運転サポート車(サポカー)」の利用や、急発進を抑制する装置の取り付けを積極的に呼びかけている。
高齢運転者による事故の実態
県警によると、2025年に県内で発生した交通事故において、65歳以上の高齢運転者が過失の重い「第1当事者」となった事故は全体の約3割を占めた。サポカーは車載センサーが車や歩行者に反応し、自動ブレーキで衝突被害を軽減したり、アクセルを強く踏み込んでも急加速を防ぐ機能を持つ。これにより、高齢ドライバーによるアクセルとブレーキの踏み間違い事故を減らす効果が期待されている。
サポカー普及の課題
国は2021年11月以降、国内で生産される新型車に自動ブレーキの搭載を義務付けるなど、サポカーの普及に力を入れている。しかし、高齢者の中には導入にためらいを感じる人も多い。安全性については理解を示しながらも、「あと何年車に乗れるかわからない」といった懸念から、車の買い替えを控える傾向がある。
急発進抑制装置の活用促進
そのため、県警はサポカーの導入に加え、現在所有している車に後付けできる急発進抑制装置の活用を促している。価格は約4万円で、県内では現在、那珂市、鉾田市、石岡市、つくばみらい市、大子町、河内町、境町の7市町で購入費の補助制度がある。
那珂市の木野内照枝さん(76)は昨年、市の補助を受けて抑制装置を設置した。運転中にアクセルとブレーキの踏み間違いを経験し、運転が怖くなったが、日常の買い物には車が必要だった。「普段の運転でひやっとする瞬間があっても、装置を付けていれば安心できる」と語る。
安全運転講習会の実施
4月15日には大子町の文化福祉会館で安全運転講習会が開かれ、地元の高齢者27人が参加し、サポカーや抑制装置を取り付けた車の運転を体験した。参加した湯口英一さん(76)は「安全を実感できた。事故を起こさないよう抑制装置の取り付けを検討したい」と話した。
車社会の課題と免許返納の低調さ
茨城県は全国でも有数の車社会であり、国土交通省の統計によると、県内の道路の長さ(実延長)は2023年度末時点で約5万6000キロと、北海道に次いで全国2位。自動車検査登録情報協会によると、県内1世帯当たりの自家用乗用車普及台数は2024年度末時点で1.50台と全国8番目に多い。
一方、県警によると、県内における昨年の免許返納率は0.43%にとどまり、高齢者の免許返納は低調だ。多くの県民が「日常生活で車が欠かせない」と考えるため、県警は「免許の返納が難しい環境にあるからこそ、安全対策を徹底すべきだ」と強調している。
県警の菊地政次交通部長は「年を重ねると、気をつけていても事故を起こすリスクが高まる。サポカーや抑制装置を安全運転の選択肢の一つとして広めていきたい」と話している。



