三重・鳥羽沖で遊漁船と貨物船が衝突、2人死亡10人重軽傷の惨事
鳥羽沖で遊漁船と貨物船衝突、2人死亡10人重軽傷 (21.02.2026)

三重・鳥羽沖で遊漁船と貨物船が衝突、2人死亡10人重軽傷の惨事

2026年2月20日昼、三重県鳥羽市沖で発生した貨物船「新生丸」と遊漁船「功成丸」の衝突事故は、一夜明けた21日、九死に一生を得た釣り客たちの生々しい証言によって、その衝撃的な詳細が明らかとなった。この事故では、松阪市の男性2人が溺死し、四日市市や伊勢市、愛知県一宮市などから乗船していた60代から80代の男性10人が重軽傷を負うという痛ましい結果となった。

眼前に迫る貨物船と海中投げ出しの恐怖

事故当時、功成丸の右舷側に乗船していた松阪市内の70歳男性は、報道陣に対し、緊迫した状況を振り返った。「貨物船はとにかくどんどんと近づいてきた。『危ない。船が来たぞ』という叫び声が聞こえたが、もう避けられへんと思って身構えた」と語る。衝突の衝撃で海に投げ出された男性は、気づいた時には海面に浮かんでいたという。「もうダメかな」と諦めかけた瞬間、流れてきたクーラーボックスにしがみつき、救命胴衣を着用していた近くの男性と共に救助を待った。約10分後、別の遊漁船が接近し、船上の人々が力を合わせて引き上げてくれたことで一命を取り留めた。当時の水温は14度ほどで、寒さから震えが止まらず、話すこともできない状態だったが、周囲の励ましに支えられ、毛布にくるまって暖を取ったという。

「気づいたら海底に」、突然の衝撃に混乱

一方、功成丸の左舷側に乗船していた名古屋市の72歳男性は、衝突の瞬間を目撃していなかったものの、乗船客が「船長、船長」と大声で呼んでいたのを覚えている。「何を騒いでいるのだろうか」と思っているうちに衝撃が走り、「気がついたときは海の底にいた」と証言した。救命胴衣が膨らみ、明るい方を目がけて泳ぐと海面に浮上し、別の遊漁船に救助された。事故当時は釣りを楽しみ始めたばかりで、右手の甲の皮がむけ、親指のけんが切れるなどの軽傷を負った。久しぶりの功成丸利用だったが、「こんな事故に巻き込まれるとは」と驚きを隠せない様子だった。

救助活動と事故調査の進展

鳥羽市国崎漁港では21日、功成丸の回収に向け、船が沖合に次々と出航した。また、同市の中之郷岸壁では、鳥羽海上保安部の担当者が新生丸の実況見分を実施し、船首下部の損傷部分を撮影し、大きさを測定するなど、詳細な調査を行った。22日には、国の運輸安全委員会の船舶事故調査官が現地に入り、新生丸の乗組員から聞き取りを行う予定とされている。この事故は、海上安全に対する警鐘を鳴らすと共に、迅速な救助活動と徹底した原因究明が求められる事態となっている。

生存者たちは、クーラーボックスが浮袋代わりになった可能性や、救助してくれた遊漁船の人々が衣服を脱がせてくれたことなどに感謝の意を表し、一命を取り留めた奇跡を語った。事故の詳細は今後も調査が進められる見込みで、地域社会に大きな衝撃を与えている。