サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3か国大会に出場する日本代表の田中碧選手(27)が、2024年の能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市の伝統工芸品「輪島塗」の職人が装飾したすね当て(レガース)を携えて、大会に臨むことになった。田中選手は「勇気を受け取ってほしい」と復興への願いを込め、最高の景色を目指す。
輪島塗の技法を生かした特別なレガース
このレガースは、輪島塗の技法を生かし、黒地に蒔絵(まきえ)を施したもの。右足用には、人々を良い方向へ導くとされる「八咫烏(やたがらす)」が、左足用には再生を象徴する「鳳凰(ほうおう)」が描かれている。日本代表がW杯の事前合宿を行ったメキシコ・モンテレイで5日、レガースを披露した田中選手は「こうやって形になったのはうれしい。ピッチでしっかりと表現して、お返ししたい」と意気込みを示した。
制作したのは老舗「田谷漆器店」
レガースを制作したのは、輪島塗の老舗「田谷漆器店」(輪島市)。同店は地震で事務所や工場、倉庫が全壊し、被害を免れた輪島塗の商品を近くの小学校の教室に一時的に保管していた。しかし、校舎の解体が決まり、地震から1年半が経過した2025年夏に商品を外に運び出さなければいけなくなった。そうした中で、田中選手の依頼を受け、職人たちが復興への思いを込めて製作した。
田中選手は「輪島塗の職人たちの技術と、能登半島地震からの復興への強い思いが詰まったこのレガースを身につけることで、自分自身も勇気をもらっている。このレガースとともに、ピッチで全力を尽くし、少しでも復興の力になれれば」と話した。
輪島塗は、石川県輪島市を中心に生産される漆器で、国指定の伝統的工芸品。地震では多くの職人や工房が被害を受け、生産体制が大きく損なわれた。今回の取り組みは、被災地の伝統工芸を支援し、復興のシンボルとして注目されている。



