東京や埼玉の一部地域で、特定の旧式スクーターの盗難が相次いでいる。狙われているのはスズキ製の「アドレスV125」。馬力や燃費の良さから一部の若者に人気で、自治体が所有者に直接防犯対策を呼びかける異例の事態となっている。
防犯カメラが捉えた犯行の瞬間
2月6日未明、東京都足立区入谷の住宅に設置された防犯カメラが、スクーターの盗難現場を捉えた。フードをかぶった4人組が路上のスクータータイプのバイクを取り囲むと、うち2人が車体の前後を持ち上げて暗闇に消えていった。
被害に遭ったトラック運転手の渡辺良さん(50)は、約15年前に新車のアドレスV125を購入し、買い物などの足に利用してきた。カスタマイズや改造など特別なことはしていなかったという。「なぜ普段使いのスクーターが盗まれたのか……」と困惑する。盗難から4日後、愛車は約15キロ離れた渋谷区内で見つかった。車体前方の黒いカバーが青色のパーツに付け替えられ、片方のウィンカーランプも外れていた。
盗難件数が急増
警視庁と足立区によると、昨年、区内で起きたバイク盗は160件で、前年の88件の1.8倍になった。大半が旧式のアドレスV125で、団地など集合住宅の駐輪場での被害が目立つ。隣接する埼玉県川口市でも昨年、バイクの盗難が前年の約1.5倍となる197件に上った。県警によると、このうちアドレスシリーズは139件で、全体の約7割を占めたという。
なぜアドレスV125が狙われるのか
スズキによると、1991年に販売が開始されたアドレスシリーズの中でも、2005年に発売されたV125はコンパクトで軽量ながら出力が高いのが特徴だ。その性能の高さから、若者を中心に根強い人気を誇る。しかし、旧式であるため盗難防止装置が現代のモデルに比べて脆弱で、犯行に及ばれやすいという側面もある。
こうした状況を受け、足立区は異例の対策として、区内のアドレスV125所有者に対し、無料でU字ロックを配布する取り組みを始めた。区の担当者は「少しでも盗難被害を減らしたい」と話している。



