ネット上の誹謗中傷問題を巡り、X(旧ツイッター)やTikTokなどの大手SNS運営事業者が、昨年4月に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」(情プラ法)に基づく対応状況を初めて公表した。削除の申し出や対応について各社の状況は大きく異なり、公表への姿勢にも濃淡があった。
公表の対象となった9社
対応状況の公表は、X、TikTokの運営会社、インスタグラムなどを手がけるメタ、YouTubeを運営するグーグル、LINEのオープンチャットや「ヤフー知恵袋」などを提供するLINEヤフーなど9社が対象。1日までに各社のウェブサイトで初めて公表した。
各社の対応状況に大きな差
サービス規模や削除基準などが異なるため単純比較はできないが、各社の状況には大きな違いがあった。Xでは、例えば攻撃的な行為や嫌がらせに関する利用者の報告が、25年4月からの1年間で6950万件に上った。このうち投稿の削除や非表示などは1903件、アカウント停止は9325件だった。リベンジポルノを含む同意のない性的コンテンツなどに関する申し出は356万件で、投稿の削除や非表示などは2万9140件、アカウント停止は9489件だった。
またYouTubeでは、名誉毀損やプライバシー侵害に関する申し立てが多数寄せられ、その一部が削除対象となった。一方、TikTokでは、いじめや嫌がらせに関する報告が数百万件に達し、削除率は比較的高かったとされる。メタは、インスタグラムやFacebookでの誹謗中傷投稿に対する対応状況を公表し、AIを活用した自動検出の強化を進めていると説明した。
法制度の背景と今後の課題
情プラ法は、大規模なプラットフォーム事業者に対し、誹謗中傷などの違法・有害情報への対応状況を定期的に公表するよう義務付けるもので、透明性の向上を目的としている。今回の初公表により、各社の対応の実態が一部明らかになったが、専門家からは「公表内容の詳細度や指標が統一されておらず、比較が難しい」との指摘も出ている。
今後、政府は公表内容の標準化や、より迅速な削除を促すためのガイドライン策定を検討する方針だ。また、被害者支援の観点から、申し出手続きの簡素化や、削除が行われなかった場合の救済措置の充実が求められている。



