ドメスティックバイオレンス(DV)や貧困などに苦しむ女性が、救いを求めやすい環境をつくっていかなければならない。自治体には、悩みを抱える女性に対応する女性相談支援員が配置されている。相談を受けて問題を把握し、一時保護などの安全確保を支援する。裁判所への同行なども行う。相談のあった問題が解消した後の生活再建を継続的に支える役割も果たしている。
困難女性支援法と現状
一昨年施行された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(困難女性支援法)」は、相談支援員の配置を都道府県の義務、市町村の努力義務と規定している。本県では県が17人、福島、会津若松、郡山、いわき、喜多方、須賀川の6市が計11人を配置している。配置のない市町村の相談対応は、県の保健福祉事務所の相談支援員が担っている。
相談件数の実態
県内の女性相談支援員が対応している相談は年間約5千件に上る。DVや貧困のほか、ストーカー被害など、女性の身体や暮らしを脅かす問題が深刻化するなかで、きめ細やかな対応には相談支援員の拡充が不可欠だ。
県内の相談件数の内訳をみると、6市が3千件超、ほかの市町村を担当する県は2千件弱だ。県は、市への相談が多いことについて、身近な行政の方が相談しやすいためと分析しているものの、県の窓口が住民に知られていないことも一因とみるべきだろう。
支援拡充への課題
悩みを抱える女性が頼る先を知らず、不安や孤立を深めていくことは避けなければならない。県は各市町村に対し相談支援員の配置を促しながら、県の窓口でも同様の支援を受けられることや、県女性のための相談支援センターにつながる電話「♯8778」の周知に努める必要がある。
県は2028年度までに全13市への配置を目標に掲げているが、支援法施行後に新たに配置があったのは須賀川市のみだ。町村はゼロの状態が続いている。
人材確保と待遇改善
配置が進まない背景には、相談支援員の仕事が一般に知られていないことや、福祉関係の経験や資格を持つなど女性支援に適性のある人材確保の難しさがあるとみられる。福祉の人材の需要が増す一方、全国の相談支援員の約8割が非正規雇用で、十分な収入が得られていないとの指摘もある。
危機に直面している女性に最善の支援を届けるには、相談支援員がやりがいを感じながら、安定して働けるようにすることが重要だ。国には相談支援員の仕事の魅力発信や、待遇改善の取り組みが求められる。



