保護司殺害事件で被告が控訴 一審の無期懲役判決に不服申し立て
大津市で2024年に発生した保護司殺害事件で、殺人などの罪に問われた無職の飯塚紘平被告(36)が、一審・大津地裁の無期懲役判決を不服として大阪高裁に控訴したことが明らかになった。控訴は2026年3月6日付で提出された。
事件の概要と一審判決の内容
判決によれば、飯塚被告は2024年5月24日、面接のために自身の担当保護司であった新庄博志さん(当時60歳)の自宅を訪問し、ナイフとおのを用いて複数回切りつけるなどして殺害した。当時、被告はコンビニ強盗事件で執行猶予判決を受けており、保護観察中という状況下で犯行に及んだ。
公判では、被告が起訴内容を認めた上で「守護神さまの声に従いやりました」と供述。弁護側は、被告に責任能力がなかったか、あるいは心神耗弱状態にあったと主張した。
しかし、大津地裁の裁判員裁判は精神鑑定の結果などを詳細に検討し、「守護神さま」という存在は自問自答の形で自身の考えを確認していたに過ぎないと判断。被告には完全な責任能力があったと認定した。
判決が指摘した犯行の動機と悪質性
さらに判決文は、被告が仕事が長続きしないなど個人的な不満を国や保護観察制度に向けて爆発させたと分析。具体的には「何ら恨みのない被害者を、いわば国への八つ当たりの道具として利用した」と厳しく指摘している。
その上で、「悪質性の高さは無差別殺人と遜色なく、厳しく非難されなければならない」と結論付け、検察側の求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
控訴後の展開と事件の背景
今回の控訴により、事件の審理は大阪高裁に移行することとなる。被告側がどのような理由で判決不服を申し立てたのか、具体的な控訴理由については現時点で明らかにされていない。
この事件では、殺害された新庄保護司が多くの人々を支えていたことが関係者から語られており、地域の保護観察制度にも大きな衝撃を与えた。被害者の妻は法廷で被告を「飯塚くん」と呼びかけ、被告自身も公判で「非常に申し訳ない」と謝罪する場面があった。
保護司仲間たちは「やめちゃいけん。死を無駄にしない」と語り、新庄さんの遺志を継ぐ決意を示している。今後の高裁での審理の行方が注目される。



