衆院選買収事件で運動員への口止め指示が判明 違法性の認識焦点に
2026年2月22日、衆院選における公職選挙法違反(買収)容疑事件で、逮捕された候補者と別の容疑者が、選挙運動員に対し報酬の受け取りを口外しないよう指示していたことが、捜査関係者への取材により明らかとなった。警視庁は、容疑者側が報酬支払いの違法性を認識しており、発覚を免れる目的があったとみて捜査を進めている。
運動員募集時に「バイトとは言わないで」と口止め
捜査関係者によると、事件では、元東京都議会議員でコンサルティング会社社長の入江伸子容疑者(63)と、SNS運用会社社長の菅原京香容疑者(25)ら女性3名が逮捕された。容疑は、2026年1月下旬から2月上旬にかけ、選挙運動員の大学生5名に対し、ビラ配りなどの報酬として現金計27万円を支払ったとされる共謀買収だ。いずれの容疑者も認否を明らかにしていない。
警視庁捜査2課の調べでは、逮捕容疑の5人を含む運動員10人以上に、少なくとも現金計約45万円が支払われたとみられている。運動員の多くは大学生で、SNS運用会社のインターン生が中心だったという。
公職選挙法では、選挙運動員は無報酬が原則とされている。捜査関係者への取材で、菅原容疑者が入江容疑者からの依頼を受け運動員を募集する際、インターン生の大学生らに対し、「バイトとは他の人に言わないで」などと、日当1万円の報酬受け取りを口止めしていた実態が浮かび上がった。警視庁は、運動員らについても公職選挙法違反(被買収)の疑いで任意捜査を実施している。
元都議の候補者が落選 事件の背景に迫る
入江伸子容疑者は、フジテレビ社員を経て、2017年から2025年まで東京都議会議員を2期務めた人物だ。2026年2月8日投開票の衆院選では、東京7区(港区と渋谷区)から国民民主党公認で立候補。候補者6人中4番目となる約2万1千票を獲得したが、落選している。
事件の発端は、選挙運動員への報酬支払いが捜査線上に浮上したことにある。警視庁は、容疑者側が運動員に口止め指示を出していた点から、違法性を十分認識しながら計画的な買収を行った可能性を強く疑っている。公職選挙法違反は、選挙の公正を損なう重大な犯罪として、厳しい罰則が定められている。
この事件は、選挙運動における資金規制の重要性を改めて浮き彫りにした。大学生を中心とした運動員への報酬支払いが常態化していた疑いもあり、捜査当局は関係者への聞き取りを進め、全容解明を目指す方針だ。今後の捜査の行方に注目が集まっている。



