宮崎県警の自殺警官パワハラ訴訟、県が控訴せず賠償約2900万円確定
宮崎県警の男性警察官(当時31歳)が2019年に自殺したのは、上司からのパワーハラスメントと過重労働が原因だとして、遺族が宮崎県に損害賠償を求めた訴訟において、宮崎県側は判決を受け入れ控訴を行わず、判決が確定した。これにより、県は遺族に対し、宮崎地裁判決が命じた通り、計約2900万円の支払いを履行することとなる。
地裁判決が認定したパワハラの実態
2026年1月30日に言い渡された宮崎地裁判決は、男性警察官が日向署に勤務していた際の上司の指導について、詳細な認定を行った。判決文によれば、上司は書類作成上のミスに関して繰り返し注意をし、「もう30歳になるんだから」と不必要に年齢に言及。さらに、「語学ばかりじゃなくて警備の仕事もしろよ」と、語学の研鑽に励む姿勢を揶揄するような発言を継続的に行った。
裁判所はこれらの言動を、「業務上の指導として必要かつ相当な範囲を明らかに超え、社会通念上許容される限度を逸脱した」と断じ、パワーハラスメントと認定。男性が遅くとも2018年末に発症したうつ病は、このパワハラと長時間労働に起因すると判断した。
長時間労働の実態と県警の対応
判決では、男性警察官の時間外労働の実態も詳細に検証された。2018年における過重な業務負担が、心身の健康を著しく損なう一因となったことが示唆されている。こうした労働環境と上司からの精神的圧迫が相まって、うつ病を悪化させ、最終的に自死に至った経緯が認められた。
宮崎県警は2月16日、高井良浩本部長のコメントを発表し、判決の確定を受けた対応について言及した。県側が控訴を断念した背景には、判決の認定事実を重く受け止め、遺族への補償を早期に実施する姿勢が反映されているとみられる。
社会的な影響と今後の課題
この判決は、警察組織内部におけるパワハラ問題とメンタルヘルス対策の重要性を改めて浮き彫りにした。公務員、特に厳しい職務環境に置かれる警察官の労働条件と上司部下間の適切なコミュニケーションの在り方について、組織全体での再検討を迫る内容となっている。
遺族側の代理人は、判決確定により一定の区切りがついたとしつつも、同様の悲劇が繰り返されないよう、県警による実効性のある再発防止策の徹底を求めている。宮崎県警においては、本件を教訓として、ハラスメント防止研修の強化や労働時間管理の厳格化など、具体的な改善措置が講じられることが期待される。