視覚障害者が駅にたどり着けない…都電荒川線の点字ブロック断絶問題
都電荒川線の点字ブロック断絶問題

目が見えない人が歩く際に重要なガイドとなるのが、路面に敷設された「点字ブロック」だ。しかし、車が行き交う道路の中央に駅がある路面電車の場合、視覚障害者は迷わず安全に乗車できるのだろうか。NPO法人「日本視覚障害者鉄道安全協会」(豊島区)が都電荒川線の全30駅周辺を調査したところ、あちこちで「道」が絶たれている実態が浮かび上がった。

点字ブロックの断絶が引き起こす危険

4月中旬、協会理事長で全盲の武井悦子さん(70)は白杖の先端で道をトントンとたたきながら、新庚申塚駅(豊島区)を探していた。国道17号沿いの歩道と駅内の点字ブロックが約1.3メートル離れており、その間が途切れているのだ。駅の入り口も狭く、柵にぶつかったり線路に足を踏み外しそうになったりしながら、ようやく到着した。踏切には遮断機もなく、「電車にぶつからないか」と見ていてヒヤヒヤする状況だった。

経年劣化によるすり減りも問題

周辺には都営バスや地下鉄の都営三田線が通る。武井さんは乗り換えや墓参りで、これまでも月数回利用してきた。「ここを歩くのは難しい。誤って国道に出たこともある。迷っているのを見かねた都電の運転士が、降車して誘導してくれたことも。安全に歩けるようになってほしい」と訴える。

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協会は昨年9月から荒川線の全駅を調査。その結果、点字ブロックが駅内外で接続していない場所が複数確認された。また、経年劣化によって点字ブロックの凹凸がすり減り、白杖や足の裏で確認しにくくなっている場所もあった。大通り中央にある駅を利用するには踏切や横断歩道を渡る必要があるが、駅へ続く横断歩道に点字ブロックと似た「エスコートゾーン」や、点状の突起で危険を知らせる「警告ブロック」が踏切の前に設置されていない地点もあった。

現場検証で見えた課題

調査結果を基に、記者も4月末に全駅を回った。すると、荒川区の熊野前駅から歩道へ続く点字ブロック上には三角コーンが二つ置かれていた。都と地元警察署の名で「ここから車乗入れしないで下さい」と書かれた貼り紙が付いており、駐車場に車を入れさせないための対応のようだ。武井さんは「踏切や駅といった一番危ない場所にブロックがない。たった数枚でも、命に関わる問題なんです」と指摘する。

行政の対応は後手に

国土交通省のガイドラインは、点字ブロックが駅内外で連続することが望ましいとしている。しかし、点字ブロックが絶たれていた新庚申塚駅周辺について、東京国道事務所の担当者は「他の重点地区から優先的に整備しており、対応は後になる」と説明。都交通局の担当者は「敷地内はぎりぎりまでブロックを敷いている。他の駅も適切に対応している」との認識を示した。

協会は今後、調査結果をホームページで公開する予定だ。みなさんも足元を気にしてみると、よく使う道に「断絶」があるかもしれない。

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