イタリア・ベネチアで開催中の世界最大級の国際美術展、第61回ベネチア・ビエンナーレに国際情勢の影が色濃く落ちている。イスラエルやロシアの参加に対する反発が相次ぎ、開幕直前に審査員団が全員辞任する事態となった。来場者投票で受賞者を決める異例の方式が取られたが、参加作家や一部パビリオンからはその対象となることを避ける動きも出ている。
抗議デモとストライキの発生
内覧会最終日の8日、ベネチアの繁華街で「パレスチナに自由を」「アートウォッシング反対」と叫ぶデモ隊がパレスチナ旗を掲げて行進した。このデモは、ビエンナーレからイスラエルを除外するよう求めるアート関係者組織「ANGA」などが呼びかけたものだ。これに連動し、日本館(国際交流基金主催)を含む複数国のパビリオンが数時間から丸一日のストライキを実施。5日から8日の内覧会期間中には、他にも規模や内容の異なる抗議活動が相次いだ。
ストライキ中の日本館の様子
ストライキ中の日本館では、通常展示されている赤ちゃん人形が撤去され、「赤ちゃんは本日、ストライキ中です」という掲示がなされた。通常時は来場者が人形を抱いて館内を歩く参加型インスタレーションが行われているが、この日は休止された。
波乱の幕開け
「In Minor Keys(短調で)」と題された今年のビエンナーレは、当初から波乱含みだった。芸術監督に就任していたカメルーン出身のコヨ・クオ氏が昨年5月に急逝。展覧会全体の方向性を示すキュレーター不在の中、イスラエルやロシア、さらにイスラエルを軍事支援する米国への批判が噴出した。中心イベントの国際グループ展の参加作家らは抗議書簡を公開。欧州メディアによれば、ロシア参加に反発したEUがビエンナーレへの資金提供削減を伝えたという。
審査員団の辞任とその影響
4月下旬には審査員団が全員辞任。これにより、賞の選考方法が変更され、来場者投票で受賞者が決まることになった。しかし、一部の参加作家やパビリオンは、この投票プロセスに参加することを拒否している。
オランダのパビリオンもストライキに参加し、パレスチナ旗を掲げた。抗議の動きは今後も続く見通しで、ビエンナーレの運営に大きな影響を与えている。



