胎児性水俣病患者の介護をめぐる問題で、熊本県水俣市と対立する患者側から支援を求められた石原宏高環境相は、4月30日に患者側に対し「市長に伝える」と述べ、問題解決に乗り出す姿勢を見せた。しかし、翌5月1日の式典後の記者会見では、「本人が目の前にいらっしゃったのでそう発言した」と説明し、立場を一転させた。患者側は「(2年前の)マイク切りよりひどい」と憤りをあらわにしている。
介護保険をめぐる対立
「自分の障害は加齢によるものではなく水俣病によるもの」と考える胎児性水俣病患者の金子雄二さん(70)は、介護保険の利用を拒んでいる。近年体調を崩したため、訪問入浴介護の利用を求めているが、水俣市は「65歳以上は介護保険が優先される」として認めていない。金子さん側は、介護保険では障害者をサポートするサービスの質が維持されるかどうか不透明だとして、不服申し立てを行っている。
環境相の発言の経緯
金子さん側は、水俣病公式確認70年の慰霊式に合わせて水俣市を訪れた石原環境相に支援を求めた。その際、石原環境相は「市長に伝える」と述べたため、患者側は問題解決に向けて前進すると期待した。しかし、1日の慰霊式後の会見で、報道陣から真意を問われた石原環境相は、「現実にはなかなか難しい問題」と述べ、前向きな姿勢を撤回した。
患者側の怒り
支援者の加藤タケ子さん(75)は「リップサービスだったとは、(環境相との懇談の場で被害者の発言を遮った)マイク切りよりひどい」と憤った。患者側は、環境相の発言が単なるその場しのぎだったと非難している。
この問題は、障害者と高齢者の福祉制度の谷間にある「65歳の壁」に関連しており、最高裁が審理を差し戻すなど、法的な議論も続いている。水俣市は、介護保険法に基づき65歳以上は介護保険が優先されるとの立場を崩していない。



