2026年4月に導入された自転車の交通反則切符(青切符)制度をめぐり、聞き取りに困難を抱える人々から不安の声が相次いでいる。騒音低減機能付きイヤホンを装着していると、外見上違反と誤認される恐れがあるからだ。デザイン性を重視した補聴器も普及しており、メーカーは当事者が警察官に提示する説明カードを配布。支援団体も懸念を示し、合理的配慮を求める動きが広がっている。
聞き取り困難症の当事者の体験
大阪府に住む45歳の男性会社員は、約2年前に自転車走行中、警察官から「イヤホンを着けているね。危険だからだめだよ」と注意を受けた。この男性は聴力検査では異常がないものの、騒音下での聞き取りが難しい「聞き取り困難症(LiD)」の当事者である。音楽を聴いていたわけではなく、安全な走行のためにノイズキャンセリング機能で周囲の騒音を低減し、必要な音を聞き取りやすくしていた。しかし、LiDは2024年に国内で初めて診断指針が策定されたばかりで、警察官の理解は不十分だったという。
この経験以降も同様の状況が続き、男性は現在、外出用のすべてのカバンに診断書のコピーを入れ、説明に備えている。
制度の背景と懸念
自転車の青切符制度は、危険運転の取り締まり強化を目的に導入された。しかし、騒音低減イヤホンや補聴器の外見が通常のイヤホンと区別しづらいことから、正当な理由で使用している人が違反扱いされるケースが懸念されている。支援団体は、警察官の研修強化や、当事者が身分を証明できる手段の整備を求めている。
メーカーは説明カードを配布し、警察への協力を呼びかけているが、現場での混乱は続くとみられる。合理的配慮の観点から、制度の運用見直しが求められている。



