車を走行中にスマートフォンなどを使用する「ながら運転」による悲惨な事故が依然として後を絶たない。罰則強化が進められているにもかかわらず、人気のゲームや動画視聴などに夢中になりながらハンドルを握るドライバーは減少していない。
相次ぐ死亡事故の実態
2016年、愛知県一宮市で、ゲーム「ポケモンGO」をプレイしながら運転していた男のトラックが、小学4年生の則竹敬太さん(当時9歳)をはね、命を奪う痛ましい事故が発生した。また、2018年には新潟県南魚沼市の関越自動車道で、スマートフォンで漫画を読んでいた男のワゴン車が、バイクに乗っていた女性(当時39歳)に衝突し、死亡させる事故が起きている。
罰則強化の経緯と現状
2019年に施行された改正道路交通法では、ながら運転に対する違反点数と反則金が引き上げられ、事故を起こした場合には1年以下の懲役(当時)または30万円以下の罰金が科されるようになった。しかし、こうした罰則強化にもかかわらず、違反行為は根絶されていない。
今年3月には、三重県の新名神高速道路で大型トラックが乗用車に追突し、6人が死亡する事故が発生。初公判で、被告(54歳)が「TikTok」の動画を注視していたことが明らかになり、改めて問題の深刻さが浮き彫りとなった。
被害者家族の訴え
一宮市の事故で息子を亡くした則竹崇智さん(55歳)は、「モラルやマナーに頼っているだけでは、同じような悲劇が繰り返される」と警鐘を鳴らす。その上で、「乗車中はスマートフォンのアプリが使えないようにする技術的な対策や、さらなる罰則の強化が必要だ」と訴えている。
ながら運転は、ドライバー自身の安全だけでなく、周囲の歩行者や他の車両にも深刻な危険をもたらす。社会全体でこの問題に取り組むことが急務である。



