岐阜駅北再開発、期待と不安交錯 東棟解体本格化、西棟は遅れ
岐阜駅北再開発、期待と不安 東棟解体本格化

岐阜市のJR岐阜駅北側で進む再開発事業は、東西2棟の高層ビル建設を柱とする大規模プロジェクトだ。東棟の建設予定地では、敷地の大部分を占める「グランパレビル」の解体工事が本格化しており、7月には建物全体が足場で覆われ、本年度中に地上部分が完全に取り壊される見通しとなっている。かつて繊維問屋街として栄えたこの地域では、再開発への期待と不安の声が交錯している。

東地区の現状:解体工事進む

岐阜駅北東の一角では、コンクリートを破壊する音が響き渡る中、グランパレビルの解体が進行中だ。このビルは1974年に建設された9階建てで、低層階には繊維関連のテナント、高層階にはホテルやレストランが入居していた。1980年代にはホテルの客室稼働率が80%を超え、国内外から訪れる買い付け業者で賑わった。しかし、ホテル間の競争激化や繊維関係の宿泊客減少により稼働率が低迷し、2010年ごろに休業。近年は空きビル状態が続いていた。

ビルに隣接するアーケード街「ワシントン通り」で婦人服の製造卸売りを営む曽貝勇さん(71)は、足場が組まれ始めたビルを見上げ、「次も発展の象徴になってほしい」と期待を込める。建設当時を知る80代の男性は「できた当時は立派だったが、今はこんなありさまだ」と寂しげに話す。解体後、この一帯は東棟として32階建ての高層ビルに生まれ変わる予定だ。曽貝さんは「駅前はいま廃れている。玄関口にふさわしい姿になってほしい」と願う。

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西地区の遅れ:不安の声

一方、金華橋通りを挟んだ西地区の再開発は、スケジュールの見通しが立っていない。開発対象地区で衣料品の企画と卸売りを営む70代の男性は「こっちはいつになるのやら」とこぼす。立ち退きを見据えて在庫を減らしているが、再開発計画が足踏みし、身動きが取れない状態だ。店の売り上げは新型コロナ禍での不況もあり、最盛期から半減。跡継ぎもおらず、店を閉めるにも在庫処分費用がかかるため、今後の決断ができない。先行きが見通せない現状に、通り向こうで進むビルの解体工事を見ながら「東だけ建てて、西は『白紙』ってことにはならないよね」と不安を漏らす。

市の見解と今後の課題

岐阜市の幹部は「事業の白紙は考えにくい」と強調する。この再開発は国、県、市の補助金が投入される大規模事業で、現時点の事業費は東西合わせて約550億円を見込む。計画は東地区が2006年度、西地区が2007年度に始動。2022年度にはそれぞれ再開発組合が設立され、当初は地上34階建ての超高層ツインタワーを建設する計画だった。しかし、建材費や人件費の高騰を受け、2025年2月に計画を縮小。東棟は32階建てに修正し、既存建物の解体工事が進む一方、西棟は20階程度への縮小に加え、設計を担当していた大手ゼネコンが撤退。東西で進捗に差が生じている。

完成目標は東棟が2029年度、西棟が2030年度。組合によると、西棟は参加事業者が建物の規模などを検討中で、市は事業継続を支援する方針だ。県都の玄関口としての「停滞」を長引かせず、実現可能な形にどう組み直すかが焦点となる。

JR岐阜駅前の繊維問屋街の歴史

戦後、引き揚げ者らが岐阜駅前に築いた闇市での衣類製造・販売がルーツ。1950年代に街の原型ができ、高度成長期には既製服の企画販売で栄えた。建物の高層化も進み、ピーク時には2千店が密集したが、海外製品の流入などで現在は約100店に激減。再開発を控え、まちは大きな転換期を迎えている。

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