徳島県が徳島市の藍場浜公園西エリアで進める県立「徳島文化芸術ホール(仮称)」の整備を巡り、見直し前の計画をテーマにした展覧会について、県が開催の直前になって事実上中止させていたことが明らかになった。県は、展覧会の内容が県有地での開催にそぐわないことを理由に挙げている。主催者側は「表現の自由を踏みにじられた」と強く反発し、別会場での開催を模索している。
展覧会中止の経緯
展覧会は日本建築家協会(JIA)四国支部徳島地域会が主催。従来案である市文化センター跡地での計画の模型や図面を展示する予定で、万代中央ふ頭(同市万代町)にある貸しスペースの倉庫を会場に、6月1日から7月26日まで開催されるはずだった。
同会によると、開催3日前の5月29日、県から会場の運営事業者に対し、貸し出しをやめるよう要請する文書が届いた。展示物はすでに会場内に運び込まれるなど準備が進んでいたが、展覧会は中止に追い込まれた。会場のふ頭は県有地であり、県と運営事業者の間には「利用目的について県が指示や要請ができる」との覚書が交わされているという。
主催者側の反応
同会は6月1日夜、徳島市内で記者会見を開き、従来案で設計を担当した建築家の石上純也さんが経緯を説明。石上さんは「(従来案と現行案を)県民に公平に比較してもらう場を持ってもらうのが展覧会の目的だった。理解できないし、悲しい」と述べた。また、貸し出し中止の要請について「県側から何も説明がない」と困惑した様子を見せた。
石上さんは「県側と争う意思はない」として訴訟などは行わないとしたが、「展示する図面なども県に確認して進めてきたが、直前の中止要請になって理解できない」と語った。今後は同会主催ではなく、有志による別会場での開催を目指す意向を示した。
県の見解
県港湾政策課は「万代中央ふ頭はにぎわいづくりの情報発信の拠点であり、展覧会の趣旨から、県有地での開催はそぐわない。進行中の新ホール事業に混乱を招く恐れがあると判断した」と説明している。
新ホール設計の現状
県は6月2日、県立「徳島文化芸術ホール」の設計業務の公募で、1次審査の結果を発表した。18社が参加し、5社が2次審査へ進むこととなった。
1次審査は書面審査で、石本建築事務所大阪オフィス、久米設計(東京)、香山建築研究所(同)、佐藤総合計画関西オフィス、松田平田設計大阪事務所の5社が通過した。6月2日から具体案となる技術提案書の受け付けを開始し、7月27日にプレゼンテーションを含む2次審査を実施して優先交渉権者を即日決定し、イメージ図も公表する予定だ。
県は昨年、設計と施工の各業務を一体にして業者を2度にわたって募ったが応募がなく、3月に設計業務に絞って募集していた。県交流拠点戦略課によると、基本設計と詳細な実施設計を合わせた提案上限額は7億7000万円となっている。



