朝日・日経、AI事業者を提訴 著作権侵害で44億円請求
朝日新聞社と日本経済新聞社は14日、生成人工知能(AI)を活用した検索サービスを提供する米国企業「パープレキシティ」に対し、記事の無断使用による著作権侵害を理由に、東京地裁に訴訟を提起した。両社は無断使用の差し止めと、総額44億円の損害賠償を求めており、同日第1回口頭弁論が開かれた。
訴状によると、パープレキシティは両社のニュースサイトの記事を無断で複製・保存し、2024年6月ごろから利用者に対し、これらの記事を含む回答を提供していたとされる。両社はこの行為が著作権法違反に当たるほか、引用元として新聞社名を表示しながら実際の記事と異なる内容を回答し、信用を毀損したとして不正競争防止法違反にも該当すると主張している。
パープレキシティ側は閉廷後、「日本のジャーナリズムに深い敬意を抱いており、AIサービスは日本における検索、情報分析、技術処理および引用に関する枠組みの下で適切に運用されていると確信している」とのコメントを発表し、請求を退けるよう求めた。
パープレキシティのサービスと問題点
パープレキシティは、対話型生成AI「ChatGPT」を開発した米オープンAIの出身者らが2022年に設立した企業だ。利用者の質問に対して、検索エンジンと生成AIを組み合わせ、インターネット上の最新情報を収集し、回答を生成するサービスを提供している。この過程で、AIは報道機関のサイトにもアクセスし、記事を収集・要約して利用者に提供する仕組みとなっている。
同様の問題は国内外で顕在化しており、読売新聞の東京、大阪、西部の3本社もパープレキシティに対し同種の訴訟を起こしている。産経新聞社は2024年12月に抗議書を送付し、毎日新聞社と共同通信社も抗議の姿勢を示している。
報道の信頼性を揺るがす懸念
生成AIを使った検索サービスは、効率的な情報収集ツールとして利用が広がっているが、一方で著作権侵害や誤った内容の拡散といった問題が指摘されている。新聞社などの報道機関が配信するコンテンツは、情報収集や記事化に多大な労力と費用がかかっており、著作権法は「著作権者の利益を不当に害する」無断利用を制限している。無断で有料記事にアクセスし、保存・提供する行為は、著作権者の「複製権」や「公衆送信権」を侵害する恐れがある。
日本新聞協会は2025年4月、生成AIを用いた検索サービスについて、「正確で信頼できる情報を届ける報道機関の経営基盤を脅かしている」とする声明を発表し、事業者や国に対応を求めている。本訴訟の行方は、今後のAIと著作権の在り方に影響を与える可能性がある。



