介護学科留学生獲得競争激化、大学9校が紹介業者と契約…優遇問題も表面化
介護学科留学生獲得競争、大学9校が業者契約 (17.03.2026)

介護学科の留学生獲得競争激化、大学9校が紹介業者と契約

大学・短期大学の介護学科を巡り、留学生の獲得競争が激化している中、受験生を紹介する業者の利用が広がっている。介護人材として外国人需要が高まる一方、大学側には受験生を募るノウハウが不足しており、業者への依存が進んでいる実態が浮き彫りとなった。東大阪大学では、業者への「過度な配慮」から不公正な入試判定が行われていたことが発覚し、業者との適切な距離感が求められている。

東大阪大で発覚した入試優遇問題

第三者委員会の報告書や取材によると、東大阪大学は2025年度の短期大学部介護福祉学科の留学生入試において、大阪市のコンサルティング会社から紹介された受験生に対し、優先的に合格させたり、募集要項にないオンライン受験を認めたりしていた。同学科の入学者127人のうち、同社の紹介が半数以上を占めた。大学を運営する学校法人「村上学園」は同社の助言で2018年に介護福祉学科を開設し、同社は受験生の紹介に加え、卒業後の就職先となる介護事業者の仲介も行っていた。

中村光男学長は昨年12月の取材で、同学科で長年定員割れが続いていたことを挙げ、「受験生とウィンウィンの形で受け入れてしまった」と振り返った。業者利用自体には問題はないとしつつも、同大学は優遇を改めた上で、2026年度入試でも同社から受験生の紹介を受けたという。

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留学生割合が初めて5割超え、獲得競争が激化

複数の大学関係者によると、介護職は仕事がハードで低賃金のイメージがあり、介護系の学科では日本人学生が減少傾向にある。経営が苦しい大学・短大は少なくなく、留学生の獲得競争が激化している。厚生労働省のデータでは、2025年度に大学や短大、専門学校などの介護福祉士養成施設325校に入学した7970人のうち、留学生は57%の4532人を占め、留学生の割合が初めて5割を超えた。

読売新聞が東大阪大学以外で、2024年度の介護福祉士国家試験で留学生の受験者がいる大学・短大30校に取材したところ、21校は「業者を利用していない」などと回答した一方、9校は留学生募集のためにエージェント会社やコンサル業者と契約していると明かした。受験生が入国に必要な書類の準備や、海外での受験呼びかけを任せているケースもあった。入試での優遇の有無については6校が回答し、いずれも「起き得ない」と否定した。

業者依存のリスクと透明性の確保

佐賀女子短期大学は地元の業者に依頼していたが、佐賀県から「複数の業者から契約金額の見積もりを取るべきだ」と指摘を受け、2024年から別の業者にも依頼している。藪敏晴副学長は「手続きの透明性を保つことを大切にしている」と語った。十数社の業者と契約している大学の担当者は、「長年安定的に受験生を紹介してもらっている業者は特に信頼している。優遇はしないが、距離が近くなりやすい環境はある」と明かした。

一方、卒業生を雇用予定の介護事業者は、合格を前提に考えており、合否への影響が懸念される。石川県の介護会社は、外国人誘致の専門部署を設置し、2017年から自社の選考に合格した外国人を介護福祉士養成施設に紹介する支援制度を実施。担当者は「合格できる人材を送っている」と話す。

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専門家が指摘する業者依存の危険性

介護業界の外国人について研究する静岡大学講師の比留間洋一氏は、「介護事業者側から学費や生活費の奨学金を受け取っている留学生もおり、不合格になると返済を求められ、借金を抱えることになる」と指摘。「大学側も仲介業者から、入試前にこうした事情を伝えられることが多く、『何とか合格させてあげたい』との心情になる可能性がある」と語る。

留学生の受け入れに詳しい一橋大学の太田浩教授(国際・比較教育学)は、「受け入れに必要な専門知識や経験がない状態で多くの留学生を入学させようとすると、大学がエージェント会社に丸投げし依存してしまう可能性がある。大学が日本語学校との連携を強化し、語学教育から学位取得まで一貫して教育することで、留学生を誘致できる仕組みを整えるのが望ましい」と提言している。