名古屋市南区で5月29日に発生したマイクロバスによるひき逃げ事件で、名古屋地検は11日、道交法違反(ひき逃げ)などの疑いで逮捕されたアルバイトの酒井照也容疑者(85)=同市中川区=について、鑑定留置を開始した。期間は10月13日までで、刑事責任能力の有無を判断するための措置である。
事件の経緯と容疑者の状態
酒井容疑者は事件の数日前から体調を崩していた疑いがあり、地検は当時の健康状態などを詳細に検討した上で、起訴の可否を判断する見通しだ。捜査関係者によると、県警がバスに搭載されたドライブレコーダーの映像をさかのぼって確認したところ、容疑者の言動に普段とは異なる様子が認められた。また、事故前後の走行状況について、酒井容疑者の供述と客観的事実の間に複数の相違点が存在する。事故後の走行については、一部で「覚えていない」と供述しているという。
当日の状況と事故の詳細
バスを運行するスイミングクラブは、当日の出勤時に酒井容疑者の体調確認を行ったが、特に異変は確認されなかった。酒井容疑者自身も、体調に大きな問題はなかったと供述している。事故は、バスが交差点の横断歩道を渡っていた男女2人をはねた後、蛇行しながら走行。現場から約350メートル先で民家などに衝突して停止した。
今後の捜査と司法手続き
地検は鑑定留置の結果を踏まえ、酒井容疑者の刑事責任能力を評価し、公判維持の可否を判断する。高齢者の運転による重大事故が相次ぐ中、本件の行方が注目される。



