名古屋市南区で5月29日に発生したマイクロバスによるひき逃げ事件で、愛知県警に逮捕・送検されたアルバイトの酒井照也容疑者(85)=同市中川区=が、事件の数日前から体調を崩していた可能性があることが、捜査関係者への取材で明らかになった。名古屋地方検察庁は、酒井容疑者の健康状態を含めて刑事責任能力の有無を判断するため、近く鑑定留置を実施する方針だ。
体調確認では問題なし
県警への取材によると、酒井容疑者が勤務するスイミングクラブは出勤時に体調を確認していたが、特に問題は見つからなかった。酒井容疑者自身も同様の供述をしている。しかし、捜査関係者によれば、県警がバスに搭載されたドライブレコーダーの映像を遡って解析したところ、異変が確認されたという。事故前後の走行状況についても、酒井容疑者の供述と客観的事実の間に複数の食い違いがあった。
事故当日の状況
県警などによると、酒井容疑者は当日の3回目の送迎途中で事故を起こした。1回目と2回目の走行では異常は見られなかった。スイミングクラブによれば、同容疑者には勤務中の事故歴はなく、ゴールド免許を保持していた。また、目立った既往症も確認されていない。
事故の経過
クラブなどの説明では、バスは事故前に約150メートル手前の踏切で遮断機を押しのけて進入した後、ハザードランプを点けて停車。踏切から現場までは約15分かかっていた。その後、横断歩道を渡っていた男性(35)と女性(36)を時速30キロ以下の低速ではね、蛇行しながら走行。2人のうち1人は現場から約100メートル離れた路上で倒れており、バスに引きずられたとみられる。バスは現場から約350メートル先で民家などに衝突して停止した。



