飲酒運転で時速70キロ超の逆走、最高裁が上告棄却 懲役12年確定へ
最高裁判所第一小法廷は、熊本市で発生した飲酒運転による死亡事故をめぐり、被告側の上告を棄却する決定を下した。これにより、松本岳被告(25)に対する懲役12年の判決が確定することになった。決定は4月15日付で、中村慎裁判長が率いる小法廷が憲法違反などの上告理由がないと判断した。
時速70キロ超でバック、歩行者をはねて死亡
一審・熊本地裁判決によると、事件は2024年6月に熊本市中央区の交差点で発生した。松本被告は酒気帯びの状態で軽乗用車を運転し、衝突事故を起こした後、その場から逃走を図った。その際、時速約70キロから74キロで車をバックさせ、横断歩道を渡ろうとしていた横田千尋さん(当時27)をはねて死亡させ、別の女性にけがを負わせた。
事故の状況は極めて危険で、被告の行動が自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)に該当するとされた。弁護側はハンドルの操作ミスが原因だと主張し、危険運転致死傷罪の成立を争ったが、一審および二審・福岡高裁はこれを退けた。
裁判所の判断と社会的影響
一審判決では、車の構造や事故の経緯を詳細に検証し、被告の運転が明らかに危険な行為であったと結論づけた。二審もこの判断を支持し、最高裁は上告審で憲法違反などの問題がないとして、被告側の訴えを却下した。
この事件は、飲酒運転の危険性を改めて浮き彫りにした。以下に、裁判の経過をまとめる。
- 2024年6月:熊本市で事故発生。飲酒運転の車がバックし、歩行者1人死亡、1人負傷。
- 一審(熊本地裁):危険運転致死傷罪を認定し、懲役12年の判決を言い渡す。
- 二審(福岡高裁):一審判決を支持し、被告側の控訴を棄却。
- 2026年4月:最高裁が上告を棄却し、懲役12年の判決が確定へ。
社会的には、飲酒運転による悲惨な事故が後を絶たない中、司法が厳格な対応を示した事例として注目される。被告の行動は、単なる過失を超えた重大な危険性を帯びており、今回の判決確定が同種事件への抑止力となることが期待されている。
なお、この事件は自動車運転死傷処罰法の適用事例としても重要で、今後の裁判例に影響を与える可能性がある。関係者によれば、被害者遺族は長い審理を経て、ようやく司法の結論を得たことになる。



