滋賀県内で自転車盗難の被害が多発している。昨年の認知件数は1516件で、前年から141件増加。今年は3月末までに266件(前年同期比11件減)の被害が出ている。県警は被害に遭わないように鍵をかける重要性を訴え続けている。
被害の実態と施錠の重要性
県警生活安全企画課によると、昨年の刑法犯認知件数全体(8669件)のうち自転車盗は最多の1516件。無施錠だったケースは全体の約76%を占めた。場所別では商業施設が293件で最も多く、アパート239件、中高層住宅(マンション)236件と続き、自宅近くでの被害も目立つ。駅と駐輪場はそれぞれ166件だった。
昨年の摘発者数は62人(100件)で、年齢別では14~19歳が34人、20~29歳が14人と若年層が多かった。被害者でも高校生が382人、大学生が380人だった。同課の浜田恭子警部は、施錠している自転車を盗んだのがわずか3人だったと紹介し、「施錠をすることが何よりの防犯になる。被害に遭う可能性があることを認識して少しでも意識してほしい」と強調する。
啓発活動と研究結果
施錠促進のため、県警は粘り強く啓発を続けている。無施錠や荷物の置き忘れなどを紙で持ち主に伝える「防犯診断」を警ら中の警察官が被害の多い地域を重点的に実施。商業施設などでの呼びかけにも取り組んでいる。
2023、24年度には、県立大(彦根市)と協力し、人間文化学部の谷口友梨准教授(社会心理学)の研究室と施錠の促進のための研究にも取り組んだ。研究では同市内の商業施設と同大構内で、それぞれポスターと音声を使って施錠を呼びかけた際の効果を検証。いずれの場所でも、「9割の人が鍵を掛けています」などの文言と被害状況を紹介した場合が、「あなたは家に帰れなくなってもいいですか?」などと後悔しないよう訴えたり、イラストで呼びかけたりするよりも効果があることが分かった。
谷口准教授は「集団生活をする上で、人間には規範に従う機能があるため、『他の人がやっているから』と思うと行動を変化させる」と分析。施錠の促進にあたっては「施錠率と盗難の発生状況を冷静に伝えることで行動変化を促せるのでは」と提案した。
防犯登録の有効性
万が一盗難されたときに備え、防犯登録も有効だ。自転車防犯登録は、車のナンバープレートのようなもので、自転車に割り振られた登録番号によって所有者を明らかにし、発見された盗難自転車の所有者照会と早期の返還に役立つ。登録は自転車利用者に義務づけられており、県内では県自転車軽自動車商業協同組合が県公安委員会から指定を受けて地域の自転車店や量販店に委託し登録を実施している。
同組合草津支部の竹村俊夫さんは「万が一に備えて、登録がされていない場合は手続きをお願いしたい」と呼びかける。また二重ロックや、ダイヤル式の鍵が付いた防犯性の高い自転車の購入も防犯に役立つとした。
記者のひと言
盗まれる危険性があると分かっているが「きっと大丈夫」「面倒くさいからいいや」。気持ちはとてもよく分かる。ただ盗まれた自転車の7割は無施錠という現実。県警の担当者によると、盗まれた自転車は途中で乗り捨てられるケースが多いために手元に戻らないことも少なくないという。
被害を減らすためにはまずは小さい心がけから。周りの人たちは鍵をかけていますが、記事を読まれたあなたはどうしますか?



