福井県前知事の退職金返還問題 議会では全額返還求める声が相次ぐ
福井県は2月16日、女性職員へのセクハラ問題で辞職した杉本達治前知事(63)が、退職金6162万円のうち1千万円を返還する考えを示していることを明らかにした。県議会からは全額返還を求める声も上がっており、県は受け取りの可否を県議会2月定例会での議論を踏まえて判断する方針だ。
代理人弁護士への申し入れと前知事の意向表明
同日開かれた県議会全員協議会で、中村保博副知事が報告した内容によると、1月20日の前回全員協議会では、退職金の返還や杉本氏本人による公の場での説明を求める声が上がった。これを受けて県は、1月28日付で杉本氏の代理人弁護士宛てに申し入れ書を送付。道義的観点から退職金の任意の返納を依頼し、県民や県議会への説明責任の果たし方を示すよう要請していた。
杉本氏は2月9日に中村副知事と面会し、その際に報告書をまとめた特別調査委員による調査費約900万円を念頭に、1千万円を自主返納する意向を示した。公の場での説明については「被害者の特定につながることは避けなければならない」として、今後も文書の形で対応すると回答したという。
県議会からは全額返還を求める意見が続出
中村副知事は全員協議会で「県議会の意見を聞きながら、杉本前知事の申し入れを受け入れたい」と表明した。これに対し、県議からは「ちょっと返還するが、大部分は返さないとも取れる。安直に判断しづらい」「県民としては全額を返してもらいたいというのが本音」などの意見が相次いだ。
さらに、杉本氏と総務部長時代から付き合いのある中村副知事の責任を追及する場面もあった。山岸猛夫議員(自民党県議会)は「(部下からのセクハラの相談に対応しなかった)風土をつくった中村副知事にも責任の一端があるのではないか」と指摘。中村副知事は「県民の信頼を取り戻す組織風土の実現に向けて全力を傾けていきたい。身の処し方は私なりの考えで進める」と述べるにとどまった。
県職員4700人対象のハラスメント実態調査を開始
併せて県は16日、全庁的なハラスメント被害の現状を把握するため、県職員約4700人を対象にした実態調査を開始した。調査は2月27日まで、インターネット上で匿名で回答できる形式で実施され、会計年度任用職員も含まれる。過去から現在までのハラスメント被害の有無や、希望する対応のほか、あらためて杉本達治前知事によるセクハラ被害の有無も尋ねる。
県立病院で勤務する約1300人は今回の調査の対象外とし、病院特有の課題を明らかにする設問を検討した上で、別途実施する予定だ。また、外部弁護士によるハラスメント専用の第三者相談窓口も開設され、被害を受けたと考える本人やその家族、上司、同僚らがメールで連絡した上で、面談や電話で相談できる体制が整えられた。匿名の相談も可能で、相談員から人事課に情報提供する場合は、相談者の意向を確認する手続きが取られる。