新名神6人死亡事故の初公判、被告が「ながらスマホ」認める
三重県亀山市の新名神高速道路で3月、計6人が死亡した多重事故で、大型トラックを運転中に事故を起こし、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われた被告(54)の初公判が10日、津地裁で開かれた。被告が走行中に携帯電話を使用する「ながらスマホ」を法廷で認めると、突然大切な家族を失った遺族のすすり泣く声が響き渡った。
約150人が傍聴席求める
午後2時の開廷前、57席の傍聴席を求めて約150人が列を作った。被告は開廷の数分前に入廷すると、傍聴席に向かって一礼。出口博章裁判官から起訴事実に間違いがないか問われ、小さな声で「ありません」と認めた。
検察の冒頭陳述
検察側の冒頭陳述などによると、被告は事故当日の3月20日午前1時頃、新名神高速道路の鈴鹿パーキングエリアで30分ほど休憩し、広島に向けて出発。野登トンネル内で勤務先の同僚とハンズフリー通話をした後、運転中にスマートフォンで動画共有サイト「TikTok」上の料理の動画を視聴するなどしていたという。
弁護側は争わず
一方、弁護側は冒頭陳述を行わず、起訴事実について争わない姿勢を示した。
遺族の悲痛な声
傍聴席には、家族5人が死亡した松本幸司さんの遺族と、高峰啓三さんの遺族が座った。検察側は高峰さんの四男の「父は憧れで目標の人。どうか時間を戻してほしい。遺族は納得できずに苦しみ続ける」との供述調書を読み上げた。
初公判を終え、高峰さんの遺族は「ごく普通の3連休となるはずでしたが、被告人の無責任な運転のために全て壊されてしまいました。啓三は長年にわたり、地元で女子小学生にバレーボールの指導を行っており、3月20日からの3連休もその指導や練習試合を行う予定でした。無責任な運転によって大切な夫、父を亡くしたことは本当に悔しく、被告人には怒り、憤りしか感じません」とのコメントを発表した。
松本さんの遺族は代理人弁護士を通じて「業務に全く関係のない飲食店のスクリーンショットを撮るため、携帯を『注視』どころか『凝視』したために発生した。6人の命を奪った『殺人事件』です」とのコメントを発表した。
遺族代理人「社会変えなければ6人の命が無駄に」
初公判後、報道陣の取材に応じた松本さんの遺族の代理人弁護士は「ながらスマホ」の厳罰化について問われ、「これをきっかけに社会が変わらないと、6人の命が無駄になってしまう」と語気を強めた。
次回の公判は8月31日で、被告人質問が行われる予定。



