詐欺拠点で押収された名簿、5年間で235万人分にのぼる
全国の警察が2020年度から2024年度までの5年間に、特殊詐欺などの犯罪拠点で押収した名簿に記載されていた個人情報が、延べ約235万人分に達することが警察庁への取材で明らかになった。これらの名簿は、詐欺グループが電話勧誘などの犯罪活動に悪用していた疑いが強まっている。
悪質な「名簿屋」の存在と国際化する詐欺
警察庁によると、都道府県警察が国内外での捜査で押収した名簿は同庁に集約されて分析されている。2024年度だけで約51万人分の個人情報が押収されたという。近年では、詐欺グループが東南アジアなど海外に拠点を移す「国際化」が進んでおり、短期滞在の外国人による被害金回収も確認されている。
さらに、悪質な「名簿屋」が個人情報を収集・販売するケースも存在し、これが詐欺犯罪を助長している実態が浮き彫りになっている。警察は、訪問販売業者など不審な第三者に安易に個人情報を伝えないよう、強く注意を呼びかけている。
専門家「特殊詐欺が情報産業化」と警鐘
滋賀大学教授で犯罪予防・環境心理学が専門の島田貴仁氏は、今回の規模について「5年間で延べ235万人分という数字は、特殊詐欺がもはや『情報産業』と化していることを示している」と指摘する。名簿の情報を基に、相手に応じた巧妙な騙しのストーリーを組み立てる手口が常態化しており、対策が急務だと強調する。
警察庁は「これらの個人情報は犯罪に悪用される恐れが極めて高い」として、インターネット上での安易な情報入力や、不審な相手への情報提供を控えるよう、国民に繰り返し注意を促している。押収された名簿に個人情報が記載されていた人に対しては、各地の警察が直接訪問したり、委託先のコールセンターが電話をかけたりして、注意喚起を行っている。
個人情報保護委員会も、動画などを通じて自宅を訪問する業者などへの警戒を呼びかけており、社会全体で情報漏洩防止への意識向上が求められている。詐欺被害の拡大を防ぐためには、官民一体となった取り組みが不可欠な状況だ。



