地下鉄サリン事件から31年、被害者の7割が目の不調、PTSDも深刻
サリン事件31年、被害者7割が目の不調、PTSDも

地下鉄サリン事件から31年、被害者の健康問題が深刻化

オウム真理教が1995年に引き起こした地下鉄サリン事件から、3月20日で31年を迎える。この節目を前に、被害者支援団体が実施した調査によって、多くの生存者が今なお深刻な後遺症に苦しみ続けている実態が浮き彫りとなった。調査結果によれば、被害者の7割以上が現在も目の不調を訴えており、さらに2割以上に心的外傷後ストレス障害(PTSD)とみられる症状が確認されている。

「見えない敵」との闘いを続ける被害者たち

事件当時、通勤中だった伊藤栄さん(71)は、日比谷線の車内でサリンを吸い込んだ一人である。伊藤さんは「疲れると目の前にすだれがかかった感覚になり、周囲が夕方のように薄暗くなる」と語り、その症状を抱えながら日々を過ごしてきた。事件直後には瞳孔が縮んで視界が暗くなる「縮瞳」に加え、息苦しさや止まらない鼻水に襲われ、1週間にわたる通院を余儀なくされた。

伊藤さんの視力は事件前の1.5から低下し、乱視による違和感を覚えるようになった。小さな文字は読みづらくなり、事件後は眼鏡の使用が欠かせない。さらに、車両の床に流れた透明な液体や、周囲でけいれんする乗客の姿が、今も脳裏に焼きついているという。「自分の身に何が起こるのか不安があった。見えない敵と戦ってきた年月だった」と、伊藤さんは当時を振り返る。

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事件の概要と長期にわたる影響

1995年3月20日朝、オウム真理教の幹部らは、営団地下鉄(現・東京メトロ)の霞ヶ関駅を通る3路線に猛毒の神経ガスであるサリンを散布した。この事件では13人が死亡し、6000人以上が負傷した。2020年には、重い後遺症と闘い続けた女性が亡くなるなど、その影響は長期に及んでいる。

支援団体の調査は、事件から31年が経過しても、多くの被害者が身体的・精神的苦痛を抱えていることを示している。目の不調に加え、PTSD症状が確認されたケースでは、フラッシュバックや不安障害などが報告されており、事件のトラウマが深く根付いている実態が窺える。

社会への警鐘と今後の課題

この調査結果は、大規模なテロ事件がもたらす被害が、単に一時的なものではなく、世代を超えて持続する可能性があることを改めて示唆している。被害者支援の充実や、長期的な医療・心理的ケアの必要性が、より一層求められる状況となっている。

伊藤さんをはじめとする被害者たちは、「見えない敵」である後遺症と向き合いながら、日常を送っている。事件から31年を迎えるこの機会に、社会全体が過去の教訓を振り返り、被害者への継続的な支援体制の構築を考えることが重要である。

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