徳島県が推進する県立ホール建設計画をテーマにした日本建築家協会徳島地域会の展覧会が、2026年5月、県の要請によって直前に中止された。展覧会を企画した建築家は「表現の自由を踏みにじる行為」と県の姿勢を強く非難している。この問題を巡っては、後藤田正純知事が建築家側に圧力をかけたとの疑惑が浮上しているが、知事本人はこれを否定している。30年以上にわたる県民の悲願であるホール建設は、今や泥沼化の様相を呈している。
「大きなホールを」30年超の悲願
徳島県内には、千人以上を収容できる大規模ホールが慢性的に不足している。このため、吹奏楽の県大会ですら隣県の香川県の会場で開催せざるを得ない状況が続いてきた。「大きなホールがほしい」という県民の声を受け、1993年に徳島市がホール建設に向けて動き出した。しかし、市長が交代するたびに計画が変更され、ホール新設は政治問題化。長年にわたって決着がつかなかった。
計画の白紙化と展覧会中止
2020年に徳島市長に就任した内藤佐和子氏は、厳しい財政状況を理由に「県立ホールとしての整備を県市協調で推進してほしい」と県に要請。これを受けて当時の飯泉嘉門知事が「2000席の大ホールを核とした施設整備の検討に着手する」と表明し、「徳島文化芸術ホール(仮称)」の構想が進められた。しかし、2023年に就任した後藤田知事がこの計画に「待った」をかけ、事実上白紙に戻した。
展覧会中止の経緯
こうした経緯の中、日本建築家協会徳島地域会はホール計画の歴史や設計案を紹介する展覧会を開催する予定だった。しかし、県が「計画が白紙の状態で展覧会を開くのは誤解を招く」として開催中止を要請。主催者側は「半ば脅しと感じた」と述べ、表現の自由への介入だと批判している。
圧力疑惑と知事の否定
展覧会中止を巡っては、後藤田知事が建築家側に圧力をかけたとの疑惑が浮上。知事は「会場貸し出し中止は民間判断」と述べ、圧力を否定している。しかし、建築家側は「知事の意向が県職員を通じて伝えられた」と主張しており、両者の主張は真っ向から対立している。
今後の展望
ホール建設は30年以上にわたる徳島県の悲願だが、工事費の高騰や事業者の応募ゼロなど課題が山積している。後藤田知事は計画の見直しを進める方針だが、今後の行方は不透明だ。展覧会中止問題は、表現の自由と行政の関与のバランスを問う事例として、全国的に注目を集めている。



