2026年4月から、著作権者と連絡が取れず使用の可否が不明なイラストや楽曲などの「著作物」について、補償金を支払うことで簡素な手続きで最長3年間利用できる新制度が始まった。この「未管理著作物裁定制度」は、インターネット上で創作されたものの許諾が得られずに「休眠状態」となっているコンテンツの活用を促し、著作権者への適切な対価支払いを可能にすることを目的としている。
従来、著作物を別の媒体で再利用する「二次利用」には著作権者の許可が必要であり、著作権者が不明な場合でも利用可能な制度は存在したが、権利者を探すために「相当の努力」が求められていた。新制度では、著作権者の連絡先が明示されていない場合や、連絡を試みて14日以内に応答がない場合に、申請を行い文化庁長官の判断(裁定)を得ることで、補償金を支払って二次利用ができるようになる。申請受付や補償金管理は、公益社団法人著作権情報センター(東京)が担当する。
新制度の背景と狙い
デジタル時代において、インターネット上には多様なクリエイターによる膨大なコンテンツが存在するが、権利者不明のために利用が進まず、結果として著作物が有効活用されていないケースが少なくない。新制度はこうした課題を解決するため、利用者にとっての手続きを大幅に簡略化し、同時に権利者への補償を担保する仕組みを導入した。これにより、クリエイティブな活動の活性化や文化の発展に寄与することが期待されている。
利用手続きの流れ
- 利用したい著作物の権利者を確認する。
- 権利者の連絡先が不明、または連絡後14日以内に応答がない場合、文化庁に申請する。
- 文化庁長官が裁定を下し、利用が認められれば補償金を支払う。
- 最長3年間、指定された範囲で著作物を二次利用できる。
補償金の額は文化庁が定める基準に基づき、著作物の種類や利用形態に応じて決定される。また、権利者が後日判明した場合でも、補償金は権利者に支払われるため、利用者は追加の対応を必要としない。
期待される効果と課題
本制度により、これまで利用が難しかった休眠著作物が活用され、新たな創作活動やビジネス機会の創出が期待される。特に、教育現場や研究機関、小規模なクリエイターにとっては、著作権クリアランスの負担軽減につながる。一方で、権利者不明のまま利用が進むことによる著作権侵害のリスクや、補償金額の妥当性など、運用上の課題も指摘されており、今後の実績を踏まえた制度の見直しが求められる。



