道頓堀刺傷事件で死亡した17歳少年、休日は祖父母の農場で草刈りを手伝っていた
大阪・道頓堀で発生した刃物による死傷事件で、死亡した17歳の少年が休日に祖父母が営む農場で草刈りを手伝っていたことが明らかになった。事件の詳細と少年の背景について、関係者の証言から浮かび上がる姿を追う。
司法解剖で判明した死因と現場の状況
大阪府警は2月17日、道頓堀で発生した刃物による死傷事件について、司法解剖の結果を発表した。死亡した会社員の少年(17歳)の死因は、刃物が心臓を貫通したことによる心停止だった。府警の説明によると、少年の胸の傷は肋骨を貫き、心臓だけでなく肝臓にも達していたという。さらに首や手にも切り傷が確認されている。
事件現場は商業ビルの出入り口付近で、死亡した少年はこの場所で倒れていた。他の2人の少年は約100メートル離れた路上で発見された。府警は現場の状況から、犯行が複数の場所で行われた可能性を探っている。
逮捕された容疑者と凶器の特定
殺人容疑で緊急逮捕されたのは岩崎龍我容疑者(21歳)。府警の調べにより、岩崎容疑者が逃走時に持っていた刃物が折りたたみナイフだったことが明らかになった。府警はこのナイフを凶器とみて詳細な鑑定を進めている。
岩崎容疑者は逮捕時の調べに対し、殺意を否認しているという。府警は2月17日、同容疑者を殺人容疑で送検したが、留置場から出ることを拒否したため、関係書類のみを大阪地検に送付した。
死亡した少年の背景と家族の悲痛な思い
死亡した少年の祖父母が読売新聞の取材に応じ、孫の日常と事件への思いを語った。祖父(69歳)は「思い出すだけで胸が苦しくなる」と声を詰まらせ、祖母(68歳)は「ニコニコしてくれるだけでうれしかったのに」と悲しみに暮れた。
祖父母によると、少年は3人きょうだいの長男で、運動神経が良く、小学校低学年でサッカーを始めた。中学時代は奈良県内の強豪チームに所属し、京都の私立高校でもサッカー部に入部した。祖父母は試合に頻繁に応援に行っていたという。
高校中退から就職、そして農場での手伝い
しかし高校生活にはなじめず、1年生の秋頃に退学した。祖父は「本人なりに悩んだだろうが、明るく振る舞っていた。心配させたくなかったのだろう」と振り返る。
退学後、少年は奈良市内の清掃会社で仕事を始めた。毎日早朝から電車で通勤し、欠勤することもなかった。職場の上司は「『誰にも負けないくらい仕事ができるようになりたい』と口にしていた。将来有望だった」と語っている。
平日は仕事に打ち込み、土日には祖父母が営む農場で草刈りを手伝っていた。最後に顔を合わせたのは1月17日で、この日も力仕事を手伝ってくれた後、「しんどかったわー」と笑顔で冗談めかしていたという。
事件前の会話と祖父の後悔
少年からは「友達と時々、大阪のミナミに遊びに行っている」と聞いていた祖父は、「気をつけんとアカンで」と声をかけていた。2月15日に事件の一報を受けたが、遺体とはまだ対面できていない。
祖父は「顔を見られたら、眠らずに一緒にいてやりたい」と悲痛な思いを語った。事件の衝撃から、家族は深い悲しみに包まれている。
この事件は、若い命が突然奪われる悲劇と、残された家族の苦悩を浮き彫りにしている。大阪府警は引き続き、犯行の動機や経緯について詳細な捜査を進めている。