政府が進める外国人の在留審査の「適正化」方針に伴い、全国115の自治体(5月25日時点)が、国民健康保険料(国保料)の滞納状況が「悪質」と判断した外国人の情報を出入国在留管理庁(入管庁)に提供していることが、入管庁への取材で明らかになった。この情報によって在留不許可となる可能性があり、自治体側は在留審査への影響力をテコに納付を促す狙いがある。一方、入管庁は自治体名を非公表としており、悪質性の判断基準も不透明なままだ。
情報提供の仕組みと実態
入管庁によると、在留資格の変更・更新許可の審査では、納税義務などの履行状況が考慮される。国保料もその対象となる。入管庁は自治体と任意で覚書を結び、地方税法に基づいて滞納者の氏名や在留カード番号などの提供を受ける取り組みを2020年末から開始。昨春までに滞納情報を提供された27人が在留不許可とされたという。
自治体の課題と狙い
外国人が多い自治体にとって、手間と予算がかかる滞納の解消は共通の課題だ。厚生労働省が把握する約150自治体のデータによると、外国人の国保料収納率は約63%で、日本人を含む全体の収納率93%を大きく下回る。情報提供により滞納が改善した事例もあり、ある自治体の担当者は「効果は絶大」と語る。
しかし、情報提供の対象となる「悪質」の基準は自治体ごとに異なり、入管庁は具体的な基準を公表していない。また、自治体名を非公表としていることから、情報提供の透明性や公平性を疑問視する声も上がっている。
今後の影響と課題
この取り組みは、在留審査に直接影響を与える可能性があるため、外国人にとっては死活問題だ。一方で、基準の不透明さや情報提供の任意性が、自治体間の格差や恣意的な運用を生む恐れも指摘されている。入管庁は「適正な審査のため」と説明するが、人権やプライバシーの観点からも議論が必要だ。



