東日本大震災で壊滅的被害を受けた宮城県亘理町荒浜地区のノリ養殖が、15年の歳月を経て皇室献上品に選ばれるまでに復活した。地元の漁師5人が生産から加工・販売まで一貫して行う会社を立ち上げ、明治時代から続く伝統の生業を立て直した。代表の菊地幹彦さん(63)は「おいしいノリを後世に残したいとの一心だった」と胸を張る。
復活の軌跡
収穫シーズンを終えた菊地さんは9日、出来上がったばかりのノリを手に笑顔を見せた。「阿武隈川から流れ込むミネラル分豊富な水が海水と混じり合って、おいしいノリができるんです」。パリッとした食感と、とろけるような滑らかな舌触りが自慢だという。
荒浜地区では、遅くとも明治時代にはノリ養殖が行われており、1950年代には約100軒が従事していた。70年代以降は衰退したが、平成に入っても数軒が伝統の味を守り続けていた。
漁師たちの結束
震災後、ノリ養殖は全滅状態に陥ったが、菊地さんを含む5人の漁師が団結。生産から加工、販売までを一貫して行う会社を設立し、復活への道を歩み始めた。彼らは技術を磨き、品質向上に努めた結果、皇室献上品という最高の評価を得るに至った。
菊地さんは「震災で全てを失ったが、仲間と共に諦めずに取り組んできた。このノリを次の世代に引き継ぎたい」と語る。荒浜のノリは、地域の復興の象徴として新たな歴史を刻んでいる。



