何歳になっても、自分らしく美しくありたいという高齢者の願いを叶え、生きがいにつなげる「介護美容」の取り組みが広がっている。介護施設でエステやネイル、メイクなどの美容サービスを提供し、心の豊かさを届けるとともに、美容をきっかけに介護業界に興味を持つ人を増やす試みとしても注目されている。
介護美容体験会で入居者が笑顔に
千葉市中央区の介護付き有料老人ホーム「ヒューマンライフケア千葉院内の郷」で5月上旬、介護美容の体験会が開かれた。メイクが完成すると、職員や入居者から歓声が上がった。この施設では、介護美容専門スクールで学んだ「ケアビューティスト」の後藤舞さん(34)が希望者に定期的にネイルを施している。体験会は、美容の持つ力をより多くの入居者に感じてもらおうと施設側が提案。後藤さんが仲間に協力を呼びかけ、「母の日」の特別イベントとして無償で実施した。
70~90歳代の入居者約40人が参加。ケアビューティストが色の好みを聞きながら丁寧に化粧を施すと、最初は緊張していた入居者も自然と表情がほころび、中には涙を浮かべる人もいた。施設長の西本達也さん(52)は「女性にとって美容は笑顔を引き出す重要な要素だと実感した」と語った。
介護美容の広がりと意義
高齢化が進む中、介護施設での生活の質(QOL)向上が課題となっている。介護美容は、外見の美しさだけでなく、内面の充実や他者との交流を促進する効果が期待される。後藤さんは祖父母や父親の介護経験を糧に活動を始め、現在はケアビューティストとして活躍。介護と美容の融合により、高齢者が自分らしさを取り戻し、生きがいを感じられる場を提供している。
体験会に参加した入居者の一人は「久しぶりにきれいになれて嬉しい。またやってほしい」と笑顔を見せた。介護美容は、施設の雰囲気を明るくし、職員のやりがいにもつながると評価されている。今後も各地で導入が進み、高齢者の生活を豊かにする手段として定着することが期待される。



