兵庫県西宮市は、認知症の早期発見と早期対応を促進するため、7月1日から65歳以上の市民を対象とした認知症無償診断制度を開始する。また、認知症の高齢者が他人の財物を損壊するなどして損害賠償責任を負った場合に、賠償金を保険で補償する事業も併せて実施する。これらの取り組みは、認知症の人とその家族が地域で安心して生活を続けられる環境を整えることを目的としている。
無償診断制度の詳細
無償診断制度は2段階の検診で構成される。第1段階では、市が委託する約140の医療機関で医師による問診などを無料で受けることができる。この段階で認知機能の低下が疑われた人を対象に、第2段階として血液検査や画像検査などの精密検査が行われる。精密検査にかかる診察代や検査費用の自己負担分は、市が後日助成する。
制度を利用するには、市が発行する受診券が必要となる。65~74歳の市民は市に申請する必要があるが、75歳以上の市民は申請不要で、市から自動的に受診券が送付される。市の試算によると、市内の65歳以上の人口は約12万人で、初年度は第1段階の検診を約5000人、第2段階の検診を約1500人が受けると見込まれている。
賠償責任保険事業の概要
賠償責任保険事業は、無償診断制度の診断結果などから認知症と確認された、市内で在宅生活を送る人が対象となる。市が保険会社と契約し、保険料を全額負担する。想定される賠償事例としては、例えば「集合住宅に住む認知症の高齢者が水道の蛇口を閉め忘れた結果、下の階の住宅に被害を与えた」といったケースが挙げられる。
賠償の上限金額は1億円で、65歳未満でも「若年性認知症」と診断された市民も加入可能である。今年度は約600人の加入を見込んでおり、無償診断制度と合わせた事業費は総額約7900万円となる。
市は「認知症が疑われる人の早期診断や診断された人への早期支援と、事故リスクへの備えを総合的に進める」とコメントしている。なお、同様の取り組みは神戸市が既に実施している。
問い合わせ先
無償診断制度に関する問い合わせは西宮市福祉のまちづくり課(0798・35・3875)、賠償責任保険事業は市地域共生推進課(0798・35・3286)へ。



