成年後見「首長申し立て」でトラブル 港区が第三者調査へ
認知症などで判断能力が低下した人を保護する成年後見制度において、自治体が申し立てを行う「首長申し立て」の運用をめぐり、東京都港区で住民側とのトラブルが相次いでいる。港区の清家愛区長は朝日新聞のインタビューに応じ、不適切な運用が指摘されたケースについて外部専門家による第三者調査を実施し、秋にも結果を公表する方針を明らかにした。
取り消し相次ぐ成年後見 家族からの告発も
首長申し立ては、判断力が低下した人で身寄りがなかったり、家族による虐待が疑われたりする場合に、市区町村長の判断で後見開始を家庭裁判所に申し立てる制度である。しかし港区では、判断能力があるにもかかわらず成年後見を申し立てられたなどと本人や家族が訴え、最終的に後見が取り消されるケースが複数発生。区議会でも問題として取り上げられてきた。
さらに、首長申し立てによる成年後見が取り消された事例では、家族から警視庁に告発状が提出されている状況だ。清家区長は捜査当局からの要請があれば随時協力する姿勢を示しつつ、制度運用の透明性向上に向けた対応を迫られている。
弁護士委託で5月調査開始 関係者へのヒアリング実施
こうした問題を受け、清家区長は弁護士に委託して調査を5月中にも開始する予定だと表明。調査対象には、被後見人(本人)や家族、親族、当時の区職員、鑑定医など幅広い関係者へのヒアリングが想定されており、今秋を目標に結果を公表するという。
必要に応じて来年度の予算や体制への反映も検討するが、具体的な調査対象ケースについては現時点で明らかにしていない。区長は「内部調査だけでは対外的な説明に限界がある」として、外部調査に踏み切る判断をした背景を説明した。
運用見直しで本庁へ集約 専門性向上めざす
港区は昨年4月に首長申し立ての運用を見直し、区内を五つに分けた「総合支所」に決定権を委ねていた従来の方式から、申し立ての可否を判断する検討会議に本庁職員を参加させる方式に変更していた。
清家区長はさらに「持続可能な区役所改革」の一環として、来年4月から首長申し立ての業務を総合支所から本庁へ集約する方針を明らかにした。支所ごとの運用ではばらつきや専門性の不足が指摘されており、ケースワーカー(福祉係職員)の再配置も含めて本庁に集約し、改善を図るという。
「各支所のケースワーカーをチーム化し、難しいケースにも複数人で対応できる体制を整えたい」と区長は述べ、高齢者の生命や財産を守る公務員としての責務を果たすため、制度運用の抜本的見直しに取り組む姿勢を示した。



