再審制度見直しに刑事法学者142人が緊急声明「重大な疑問」を表明
2026年4月6日、刑事裁判をやり直す再審制度の見直しをめぐり、刑事法学者ら142人が緊急声明を発表した。法制審議会の答申に沿った政府の法案に対して「再審の機能を低下させる危険」があるとして、抜本的な修正を強く求める内容となっている。
検察の不服申し立て禁止見送りに「重大な疑問」
声明は「刑事再審制度の総合的研究」の共編著者である葛野尋之・青山学院大学教授、田淵浩二・九州大学教授らが呼びかけ人となってまとめられた。政府が再審開始決定に対する検察の不服申し立て禁止を見送った点について、「重大な疑問がある」と厳しく批判している。
不服申し立てにより「再審開始決定の確定が遅延し、迅速な救済ができなくなる」として、禁止を求める姿勢を明確にした。さらに、検察は再審開始決定に不服がある場合、再審公判の場で「公開の審理を通じて決着をつけるべきだ」と主張。非公開の再審請求審の役割が大きくなりすぎることへの懸念を示している。
自民党内でも禁止を求める声が相次ぐ
不服申し立てをめぐっては、自民党内からも禁止を求める声が相次いでおり、政府は一定の制限を設ける方向で検討を進めている。同日に会見した松宮孝明・立命館大学大学院教授は「どんな制限をつけても、検察が理由があると言えば抗告できる」と述べ、あくまでも禁止が必要だとの認識を示した。
声明ではさらに、再審請求を迅速にスクリーニング(選別)する規定について、再審開始になり得る請求まで棄却される恐れがあると批判。新たな証拠開示規定のもとでは、これまで再審開始を導いてきた重要な証拠が出てこなくなる危険性を指摘している。
証拠開示の「目的外使用禁止」規定にも反対
また、開示された証拠の公開を禁じる「目的外使用の禁止」規定を設ければ、研究や報道に支障が生じ、元被告や弁護人が支援者の協力を得にくくなるとの懸念を表明。一律の禁止に反対する立場を明確にした。
自民党会合でも議論が継続
再審制度を見直す政府法案を与党として事前審査している自民党の会合が同日開かれた。議題は証拠開示規定だったが、稲田朋美・元防衛相が冒頭で、検察の不服申し立てについて「ほとんどの議員が禁止と言っている」として議論を続けるよう求めた。党関係者によると、論点を一巡した後、改めて不服申し立てなどの議論を行う方針という。
政府は4月下旬の閣議決定を目指しているが、自民党内の審査には高い壁が立ちはだかっており、閣議決定の行方は不透明な状況が続いている。刑事法学者による今回の緊急声明は、再審制度の本質的な機能を損なう可能性がある政府案に対して、学界から発せられた強い警鐘として注目を集めている。



