大田区選管の開票不正、2016年以降5選挙でも数字食い違い 常態化の疑い
大田区選管開票不正、2016年以降5選挙で数字食い違い

大田区選管の開票不正、2016年以降5選挙でも数字食い違い

警視庁捜査2課は3月2日、東京都大田区選挙管理委員会の職員4人を公職選挙法違反(投票増減)の疑いで書類送検した。捜査関係者への取材で明らかになった問題は、2022年から2025年にかけて実施された3回の選挙における無効票数の操作を中心に、より深刻な組織的な不正の可能性を示唆している。

脈々と引き継がれた不正処理の疑い

捜査幹部によると、警視庁が区選管の内部資料と公式の開票録を詳細に照合した結果、立件された3回の選挙以外にも、2016年以降少なくとも五つの選挙で数字上の食い違いが確認された。この発見は、不正な処理が一部の担当者間で「脈々と引き継がれていた」可能性を強く示している。

具体的な書類送検容疑は、50代の職員ら3人が2025年7月の参院選において、選挙区で2500票、比例代表で2700票の無効票数を水増しした事案。さらに、2024年7月の都知事選と2022年7月の参院選では、それぞれ別の30代職員が無効票数を意図的に減らしたとされている。いずれも投票者総数と実際の開票票数の誤差を帳尻合わせする目的で行われ、選挙結果自体に影響はなかったものの、民主主義の根幹を揺るがす重大な違反行為だ。

区側の消極的な過去調査姿勢

一方、大田区側は過去にさかのぼった実態調査に対して明確に後ろ向きの姿勢を示している。区選管は今年1月、公選法で保存が義務付けられている直近の選挙資料を確認した結果、2025年参院選以外の選挙でも無効票操作の疑いを示す記録を発見したと公表した。

しかし、警視庁の捜査が進行中であることを理由に「当時の職員らに確かめることはしていない」と説明。すでに記録保存義務がなくなっている過去の選挙についても、一部記録が残っていることを認めつつ「改めて確認することはしない」との方針を打ち出している。

鈴木晶雅区長は2日、「区民・有権者の信頼を大きく損ね、心より深くおわびを申し上げます。司法の判断を待ち、区としても厳正に対応します」とのコメントを発表した。区選管は昨年10月に第三者委員会を設置し、2025年参院選の不正原因や組織的背景を調査。同委員会は今年2月末に再発防止策を提言したが、調査結果では過去の選挙に関する具体的な言及はなかった。

選挙民主主義への重大な懸念

今回明らかになった一連の不正は、単なる個人的な過誤を超え、選挙管理システムそのものの信頼性に疑問を投げかける事態となった。2025年参院選当時の選管事務局長は、同選管で以前から無効票を用いた数字調整が行われていたとの情報を聞いていたと証言しており、不正が組織的に常態化していた可能性が高い。

選挙管理委員会は中立・公正な選挙実施を担う重要な機関であり、その業務に対する信頼は民主主義の基盤そのものだ。大田区の事例は、全国の選管業務の透明性と監視体制の強化が急務であることを改めて浮き彫りにした。今後の司法判断と区の対応が注目される中、有権者の信頼回復に向けた抜本的な改革が求められている。