小林健・東商会頭がイラン情勢に警戒感 経済通常軌道への復帰を政府に要請
東商会頭がイラン情勢に警戒 経済通常軌道復帰を政府に要請

イラン情勢の長期化が日本経済に影 小林健・東商会頭が政府に経済通常軌道への復帰を要請

2026年3月5日、東京商工会議所の小林健会頭は定例会見を開き、長期化が懸念されるイラン情勢が日本経済に与える影響について強い警戒感を示した。エネルギー供給の不安定化が引き起こすインフレ圧力と円安の同時進行を特に危惧し、政府に対して経済刺激策の優先順位を明確に定め、経済を通常軌道に戻すための集中的な取り組みを要請した。

エネルギー供給不足と為替変動のダブルリスク

小林会頭は、イラン情勢の悪化が「大きな影響を与える可能性がある」と指摘。具体的には、エネルギー供給不足による価格上昇がインフレを招き、それに円安が重なることで「相当大変な状況」が生じるとの見解を示した。このような複合的な経済ショックに対処するためには、政府が迅速かつ効果的な経済対策を講じることが不可欠だと強調した。

「政府は経済刺激策の優先順位を決め、経済を通常軌道に持って行くことに腐心してもらいたい」と小林会頭は述べ、現状の経済政策に対する期待と要望を明確に伝えた。中小企業を中心とする会員数8万を超える東商のトップとして、地域経済の安定に向けた政府のリーダーシップを強く求める姿勢を示した。

世界情勢の変化と防衛力強化の必要性

会見では、イラン情勢に限らず、中長期的な世界情勢の変化についても言及された。小林会頭は、トランプ米大統領の外交方針に触れ、米中ロ3カ国による話し合いが重視され、従来の同盟関係が軽視される傾向にあると分析。このような国際環境の変化を踏まえ、「国益を考えると、従来以上に防衛力の強化が、周辺環境からも産業面からも必要だ」と主張した。

防衛力の強化は、単に安全保障上の観点だけでなく、経済的安定を確保するためにも重要であるとの認識を示し、産業界としてもこの問題に注視していく方針を明らかにした。

賃上げへの影響と企業心理の懸念

経済情勢の不安定化が賃上げに与える影響についても質問が及んだ。小林会頭は、現時点では具体的な影響は出ていないものの、「危ぐしている」と慎重な見方を示した。有事が発生した場合、企業の防御本能が働き、投資や人件費の抑制につながる可能性があると指摘。

一方で、人手不足は依然として続いており、昨年並みの賃上げを期待する声があることも認めた。しかし、「難しい局面になるかもしれない」と述べ、国際情勢の悪化が国内の雇用環境や賃金水準に波及するリスクがあることを示唆した。

東京23区を中心とする中小企業の声を代表する立場から、小林会頭は政府に対し、国際情勢の変化に柔軟に対応しつつ、国内経済の安定と成長を両立させる政策の実施を強く求めた。今後の経済動向については、エネルギー価格や為替相場の変動を注視しながら、適切な対応を模索していく考えを示している。