高市早苗首相は4日午前、訪問先のオーストラリアの首都キャンベラで、アンソニー・アルバニージー豪州首相と首脳会談を行った。両首脳は、エネルギーやレアアースを含む重要鉱物などのサプライチェーン(供給網)強化を盛り込んだ経済安全保障協力に関する日豪共同宣言に署名した。この共同宣言は、イラン情勢に伴うエネルギー調達の不安定化や、中国による経済的威圧などを念頭に置き、日豪間の協力を推進するための「戦略的指針」と位置づけられている。
高市首相「準同盟国とも言える関係」
高市首相は会談後の共同記者発表で、「日豪両国は先駆的な安全保障協力を進める同志国連携のフロントランナーであり、準同盟国とも言える関係を築いている」と強調した。また、経済安全保障を含む包括的な安全保障協力の制度化に向けた方策を、次回の首脳訪問までに構築するよう関係閣僚に指示することで一致したと説明した。
共同宣言の内容と背景
共同宣言では、地政学的緊張の高まりを背景に、エネルギーや重要鉱物の安定供給確保が重要課題として掲げられた。特に、レアアースやリチウムなどの重要鉱物は、電気自動車や再生可能エネルギー技術に不可欠であり、中国への依存度が高いことが懸念されている。日豪両国は、これらの資源の探査、採掘、精製、リサイクルなどの分野で協力を強化し、サプライチェーンの多様化と強靭化を図る方針だ。
また、エネルギー分野では、液化天然ガス(LNG)や水素、アンモニアなどのクリーンエネルギー技術の共同開発や、投資促進が盛り込まれた。両首脳は、安定したエネルギー供給と脱炭素社会の実現を両立させるため、協力を拡大することで合意した。
輸出規制への懸念表明
共同記者発表では、特定国による不当な輸出規制や経済的威圧に対する強い懸念が表明された。高市首相は「ルールに基づく自由で公正な経済秩序を守るため、同志国と連携して対応していく」と述べ、中国を念頭に置いた発言と受け止められた。アルバニージー首相も「オーストラリアは日本と共に、戦略的パートナーシップをさらに強化していく」と応じた。
今後の展望
両首脳は、次回の首脳訪問までに、経済安全保障を含む包括的な安全保障協力の制度化に向けた具体的な方策を策定するよう、関係閣僚に指示することで一致した。これにより、日豪間の協力は従来の防衛・安全保障分野から経済安全保障へと拡大し、より緊密な関係が築かれる見通しだ。専門家は、今回の共同宣言が日豪関係を「準同盟国」からさらに強固なものにし、インド太平洋地域の安定に寄与すると評価している。



