大阪都構想の進展に暗雲 法定協議会設置が暗礁に
大阪府の吉村洋文知事(日本維新の会代表)が推進する大阪都構想の実現に向けた動きが、思わぬ障害に直面している。都構想の制度設計を担う「法定協議会」の設置が暗礁に乗り上げ、3回目となる住民投票の実施スケジュールに大きな影響が出る可能性が高まっている。
維新市議団が慎重姿勢を表明
日本維新の会の大阪市議団は2026年2月26日、市内で一部非公開の総会を開催し、法定協議会の設置について当面慎重な立場を取る考えを明らかにした。竹下隆幹事長によると、都構想について市民と対話する場を市内の全24区で設ける方針で合意したという。
竹下氏は総会後の記者団への説明で「市民との対話をしていかないと、次のステップへ出にくい」と述べ、近く設置議案が提出された場合でも「団としてなかなか同意できない」との見解を示した。この発言は、吉村知事が目指す来年4月までの住民投票実施に向けた工程に重大な影響を与えるものとなっている。
吉村知事の目算に狂いが生じる
大阪都構想の住民投票実施には、まず法定協議会を設置し、具体的な制度案を作成する必要がある。法定協議会の設置には、維新が過半数を握る大阪府議会と大阪市議会の両方で設置議案を可決することが求められる。
吉村知事らは当初、開会中の府市両議会で3月上旬に議案を提出する意向だった。しかし、維新市議団の慎重姿勢により、法定協議会の設置が大幅に遅れる見通しとなり、吉村知事の政治日程に狂いが生じ始めている。
維新内に広がる不満の声
今回の事態の背景には、吉村知事の一連の言動に対する維新内部からの反発があるとみられる。突然の出直し選挙の実施や「国政進出」をほのめかす発言など、吉村知事の政治判断が党内外で波紋を広げている。
特に、大阪都構想を最重要政策として掲げる日本維新の会にとって、本拠地である大阪での党内不一致は深刻な問題だ。一部からは「大阪は踏み台か」といった困惑の声も上がっており、党の結束に陰を落としている。
市民対話の場を設置へ
維新市議団は、法定協議会の設置に先立ち、3月から4月をめどに市内全24区で市民との対話の場を設ける方針を固めた。都構想の内容や意義について市民の理解を深め、支持を広げることが目的とみられる。
大阪都構想はこれまでに2回の住民投票が実施され、いずれも否決されている経緯がある。3回目の挑戦となる今回、維新はより丁寧な説明と市民の合意形成を重視する姿勢を示している。
今後の展開に注目
吉村知事が自らの任期である来年4月までに住民投票を実現させたい意向は変わらないが、法定協議会の設置遅れは避けられない情勢だ。維新が府市両議会で過半数を占める有利な環境にあるにもかかわらず、党内調整に時間を要する事態は皮肉な展開と言える。
大阪都構想を巡る議論は、単なる行政制度改革を超え、維新の党内力学や吉村知事の政治手腕が試される場となっている。今後の協議会設置に向けた動きと、市民との対話の成果が注目される。



