岐阜・池田温泉 無料券大量配布が経営を圧迫 29年間で175万枚、未使用分は91万枚
岐阜県池田町が運営する池田温泉において、町広報に添付していた無料入浴券の大量配布が経営を大きく圧迫していることが明らかになった。温泉再生プロジェクトチームの分析によれば、29年間で約175万枚を配布した無料券のうち、未使用分は約91万枚に達し、その金額は約6億4千万円相当に上る。今後も使用が続けば、さらなる経営悪化の懸念が高まっている。
無料券配布の経緯と経営への影響
池田町はこれまで、入浴者数の増加を目指し、1996年から町広報に無料券を年1枚添付する施策を開始した。その後、1999年には年6枚、2011年には年8枚へと配布枚数を増加させてきた。配布総額は約8億7千万円に及び、単純計算では年間約3千万円の利用料収入が失われたことになる。
無料券の大量配布は、入場者数が増加しても利益が伸びない構造的要因となっている。加えて、当日券より割安な有料回数券も有効期限なく販売されており、回数券利用者が当日券購入者を上回る状況が続いている。昨年、無料券や回数券の使用期限を2027年3月までと設定したことで利用が急増し、入場客1人あたりの支払額が低下する結果を招いた。
町の対応と今後の見通し
池田温泉は特別会計で運営され、事業収入から支出を賄う独立採算制に近い形を取ってきたため、一般会計からの赤字補填は行われてこなかった。しかし、無料券発行は町の施策として実施されてきた経緯があり、その収入減を補うため、2026年度一般会計当初予算案に初めて1834万円を計上した。
町は今年から、広報での無料券配布を中止し、200円割引券へと変更した。また、温泉の魅力向上を目指し、ドライヤーの更新や従業員のマナー研修、新たなロゴ作成などに取り組んでいる。2026年度決算では、これらの施策により改善の兆しが見られるものの、赤字状態は継続する見通しだ。
温泉再生への課題と展望
無料券の大量配布は、短期的な入浴者増加には寄与したものの、長期的な経営安定にはつながらなかった。プロジェクトチームは、持続可能な運営モデルの構築が急務と指摘しており、利用料金体系の見直しやサービス品質の向上が今後の焦点となる。
池田町は、地域の貴重な温泉施設としての存続を図りながら、財政健全化への道筋を模索している。関係者からは、利用者への適切な価値提供と経営効率化の両立が、今後の課題として挙げられている。



