北海道で宿泊税が導入開始、札幌など18市町村では二重課税に
北海道は、道内のホテルや旅館などに宿泊する際に支払う「宿泊税」を4月1日から導入しました。これに伴い、札幌市など15の市町村も独自の宿泊税の課税を開始し、既に導入済みの3町村と合わせると、合計18の市町村で二重課税が実施されることになりました。各宿泊施設は、制度の周知や徴収対応の準備に追われており、現場では混乱も懸念されています。
宿泊税の具体的な内容と徴収方法
宿泊税は、宿泊料金に応じて課税される「段階的定額制」がほとんどの自治体で採用されています。北海道の宿泊税額は、1人1泊あたりの宿泊料金が2万円未満で100円、2万円以上5万円未満で200円、5万円以上で500円です。これに加えて、市町村独自の宿泊税が上乗せされます。
例えば、札幌市では独自の宿泊税として、1泊1人あたり宿泊料金5万円未満で200円、5万円以上で500円を徴収します。道の宿泊税と合算すると、宿泊料金2万円未満で300円、2万円以上5万円未満で400円、5万円以上で1000円となります。このため、宿泊客は二重の負担を強いられる形です。
札幌市中央区のホテル「ビジネスインノルテ中島公園」では、1日から道と市による宿泊税の徴収が始まることを知らせる案内を先月からロビーに設置しています。案内には英語や韓国語なども併記され、外国人観光客への配慮がなされています。
宿泊施設の対応と課題
同ホテルでは、チェックイン時に市と道の宿泊税を宿泊客から徴収し、1か月分をまとめて市を通じて納める方針です。佐々木智保子・統括支配人(44)は、「チェックインの手間が一つ増える上、まとめて申告する手続きがスムーズにできるか心配だ」と語り、事務負担の増加を懸念しています。
一方、2019年から先行して宿泊税を導入した倶知安町は、一律の税率で課税する「定率制」を採用しています。4月からは定率制を維持しつつ税率を2%から3%へ引き上げ、町が事業者から納付を受けた後、道の宿泊税分を算定して納めることにしています。このように、自治体によって徴収方法が異なることも、事業者にとって対応の難しさを増しています。
課税対象と税収の使途
宿泊税の課税対象は、ホテルや旅館、民宿だけでなく、民泊も含まれます。ただし、修学旅行など教育を目的とした宿泊の場合は対象外となります。
北海道は、宿泊税による税収を年間約45億円と見込んでおり、基金に積み立てて一般財源と区別する方針です。道に納付される時期のずれから、初年度の2026年度の税収は約32億円の見通しで、経費などを除いた約25億円を観光事業者に補助金として支給し、サービス向上のための設備購入費などに充ててもらう計画です。
行政の取り組みと今後の展望
鈴木知事は3月27日の定例記者会見で、「宿泊税は北海道の観光のさらなる発展に向けた大切な財源。国内外から選ばれ続ける魅力的な観光地作りに取り組んでいく」と述べ、理解と協力を求めました。
また、道は4月1日から1年間、宿泊客からの問い合わせを受け付けるコールセンター(0120・109・096)を設けています。日本語は午前8時から午後6時まで、英語は午後3時から6時まで対応しており、利用者の疑問解消に努めています。
この宿泊税導入は、観光振興の財源確保を目的としていますが、二重課税による宿泊客の負担増や事業者の事務コスト上昇など、課題も少なくありません。今後、制度の運用が円滑に進むかどうかが注目されます。



