路上全面禁煙から1年 大阪市で喫煙率が大幅減少
大阪市において路上喫煙が全面的に禁止されてから、1年の歳月が流れた。周知活動の浸透と違反者への巡回指導強化が功を奏し、路上でたばこを吸う人の割合は取り組み開始前と比較して、顕著に低下している。しかし、喫煙所の増設を求める声は依然として根強く、市は2026年度の予算案に今年度の1.8倍となる事業費を盛り込み、さらなる対策に乗り出している。
喫煙率は約4割減少 分煙環境の充実が効果
大阪市は、「いのち」をテーマに掲げた大阪・関西万博の開催に合わせ、路上喫煙防止条例を改正。従来、JR大阪駅周辺や心斎橋筋周辺など6エリアに限定されていた路上喫煙禁止地区を、昨年1月27日から市内全域に拡大した。道路や公園などの公共スペースが対象となり、違反した場合には1000円の過料が科される。
市が実施する定点調査によれば、通行者数に占める喫煙者数を計算した「路上喫煙率」は今年度、市内全体で0.15%となり、改正条例施行前の24年度(0.24%)からおよそ4割減少した。さらに、市民500人を対象としたインターネット調査では、喫煙者が外出時にたばこを吸う場所として、公園や広場を含む路上喫煙を挙げた割合は計7.2%で、22年度に実施した際の計21.4%から大幅に低下している。
市環境局事業管理課の担当者は、「全面禁止の取り組みが浸透しつつあることに加え、喫煙所整備など分煙環境の充実を図ってきた効果ではないか」と分析している。
過料処分件数が5倍に増加 指導員を増員し巡回強化
路上喫煙に関して昨年4月から今年1月までに、市に寄せられた意見は2591件に上る。目立ったのは、「屋外にある灰皿の煙が気になる」といった苦情や、「禁止されている場所で吸っているのではないか」といった取り締まりの強化を求める声だった。
昨年1月27日から同3月末までに、市の指導員らが過料を徴収した処分件数は市内全域で計604件だったが、同4月から11月末では計1万1880件に急増。月平均では1400件超と、全面禁止直後(約300件)の5倍近くまで増加した。
市は指導員らを改正条例施行前の74人から順次増員し、今月1日時点で91人の体制とした。人通りの多い道路沿いや主要駅周辺を重点的に巡回するようにしており、さらなる増員を予定している。
喫煙所拡充を求める声が半数近く 市議会への陳情も根強い
路上喫煙に関する市議会への陳情は今年度95件(今月20日時点)と、全体(201件)の半数近くを占めており、その多くは喫煙所の拡充を求める内容だった。
市は全面禁煙を機に、民間事業者と合わせて193か所(今月1日時点)の喫煙所を整備。パチンコ店などにある喫煙所の無償開放などを含め、計431か所を確保したという。
昨年12月には、人流の多さや過料処分件数から対策の優先度が高いとする63エリアで、喫煙所を新設し、一部では指導員らの巡回強化などを行う方針を公表。対象エリアには、宗右衛門町やアメリカ村、千日前商店街(いずれも中央区)、天王寺駅、大正駅、阪急上新庄駅(東淀川区)、オレンジストリート(西区)、桃谷商店街(生野区)が選定されている。
民間も独自の対策を実施 商店街連盟が補助制度を創設
民間も独自の取り組みに乗り出している。市内の商店街でつくる市商店会総連盟は昨年11月、滞在人口などから市内全体では837か所の喫煙所が必要との独自の試算結果を公表。その上で先月、喫煙所や灰皿の維持管理費として、1か所あたり4万8000円を補助する制度を設けた。
千田忠司理事長は、「喫煙所不足は各地の商店街から聞かれ、訪れる人の安全を守るためにも、行政任せではなく自主的に対策を取ることにした」と語る。
市は26年度当初予算案に路上喫煙対策として20億7900万円を計上しており、横山英幸市長は26日、記者団に「路上喫煙の禁止の方針を打ち立てたが、喫煙スペースの確保も重要。優先順位をつけながら取り組みを進めていきたい」と述べた。



