敵基地攻撃能力担う長射程ミサイル 熊本に搬入も地元に事前連絡なし
陸上自衛隊は2026年3月9日未明、熊本市東区の陸上自衛隊健軍駐屯地に、長射程ミサイル関連の車両や装備品を搬入しました。これは敵基地攻撃能力(反撃能力)の一端を担うもので、今月中に配備が始まる予定です。しかし、地元自治体への事前連絡がなかったことから、市長や知事が強い不満を表明し、住民の間にも反発が広がっています。
深夜の搬入作業と住民の抗議活動
健軍駐屯地には9日午前0時過ぎ、ミサイル関連装備を搭載したとみられる自衛隊の大型車両が到着し、門の中に入っていきました。周辺では8日夜からミサイル配備に反対する人々が集結し、横断幕やプラカードを掲げて「配備をやめろ」と声を上げる抗議活動が行われました。
防衛省関係者によると、この日搬入されたのは発射装置に関連する装備品で、静岡県の富士駐屯地から運ばれたものとされています。ミサイル本体の保管場所については、現時点で明らかにされていません。
射程1千キロの「12式地対艦誘導弾能力向上型」
健軍駐屯地に配備されるミサイルは「12式地対艦誘導弾能力向上型」で、射程は約1千キロに及びます。この駐屯地が最初の配備地となり、九州から中国沿岸部や台湾周辺の海域が射程範囲に入ると見られています。
このミサイルは、2022年に改定された安全保障関連3文書で盛り込まれた敵基地攻撃能力を担う装備の一つとして位置づけられており、日本の防衛戦略上重要な役割を果たすことになります。
地元自治体の強い不満と説明要求
問題となったのは、今回の搬入作業について地元自治体への事前連絡が全くなかったことです。熊本市の大西一史市長は9日、報道陣に対し「市民が不安な状態にあることを受け止めて、住民の安全に関する情報を提示してほしい」と述べ、住民説明会の必要性を強く訴えました。
熊本県の木村敬知事も「県に何の知らせもなく、報道を通じて搬入を知ったことは大変残念」と不快感を露わにし、政府側の対応を批判しました。
政府側の説明と今後の対応
これに対し、木原稔官房長官は9日の会見で「装備品の搬入にかかる詳細は、部隊運用の保全や輸送の安全を確保する観点から答えを差し控えている。今回だけではない」と説明しました。
九州防衛局は、以下の計画を明らかにしています:
- 3月31日に正式配備を開始する
- 3月17日に県・市・自治会などを対象に装備品を展示し説明を行う
今回のミサイル配備を巡っては、安全保障上の必要性と住民の不安の間で緊張が高まっており、今後の説明会や地域との対話が注目されます。住民の間では「なぜ私たちの近所に配備されるのか」という疑問や、攻撃目標になるのではないかという不安の声も上がっています。



