埼玉・吉川市で自衛隊行進訓練 市民の反応は賛否両論、憲法9条議論との関連性も
埼玉・吉川市で自衛隊行進訓練 市民の反応は賛否両論

埼玉県吉川市で自衛隊行進訓練 市民の反応は賛否両論

陸上自衛隊第32普通科連隊が2月27日、埼玉県内で行進訓練を実施した。訓練は災害派遣命令を受けて被災地まで徒歩で向かう想定で行われ、吉川市では13年ぶりの実施となった。同市は事前にホームページで訓練を告知し、市民に対して「沿道にてお声掛けいただければ」と協力を呼びかけた。

市民の反応は「身近になった」から「違和感」まで

訓練ルートとなった吉川市の住宅地では、多くの市民が隊員の行進を見守った。隊員は迷彩服姿で黙々と歩を進め、沿道からは「頑張れ」との声援が飛んだ。保育園の前では園児と敬礼を交わしながら記念撮影を行うほほえましい光景も見られた。

0歳児を抱く斎藤ひとみさん(29)は「大変な距離を歩いてすごい。自衛隊は遠い存在だったが、初めて見て身近に感じた」と話した。一方で、「9条の会@よしかわ」の世話人・鈴木則夫さん(72)は「訓練は基地の中でもできるのでは。違和感がある」と疑問を呈した。

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自治体の対応に温度差 吉川市と越谷市の違い

吉川市の中原恵人市長は訓練終了時に駆けつけ、「厳しい国際状況の中で国防の任務に力を尽くしていることに敬意と感謝を申し上げたい」とあいさつ。市の危機管理課担当者は「市民を驚かせないようにするため」と事前告知の理由を説明した。

一方、出発地点の越谷市は休憩場所として公共施設を提供したものの、事前告知や市長あいさつなどは行わなかった。同市危機管理室担当者は「(自衛隊には)さまざまな意見がある。共催でもないため場所の提供以上の協力はしていない」と説明し、両市の対応に明確な温度差が見られた。

全国に広がる公道訓練 沖縄ではトラブルも

自衛隊の公道での行進訓練は全国各地で実施されている。2024年3月には東京都練馬区で、2025年5月には金沢市で同様の訓練が行われた。特に南西地域では「南西シフト」と呼ばれる自衛隊増強が進む中、宮古島駐屯地では2023年から公道訓練を実施している。

しかし、宮古島市では昨年8月、訓練に抗議する市民団体に対し、駐屯地幹部が「許可取れ」などと大声で迫るトラブルが発生。同団体の清水早子共同代表は「防災名目の訓練だったが、実態は軍事訓練。各地に広がるのではないか」と危惧している。

自衛隊員不足と憲法9条議論の背景

陸上自衛隊は2025年3月時点で充足率が9割を切り、深刻な隊員不足に直面している。軍事ジャーナリストの小西誠氏は「必死になっている面もある」と指摘する。

政治的には、高市早苗首相が憲法9条への自衛隊明記を目指す「9条改憲」に意欲を示している。自民党は2018年に9条1項・2項を維持した上で、新設する「9条の2」で自衛隊を明記する案をまとめた。日本体育大学の清水雅彦教授(憲法学)は「自衛隊は着々と戦力に近づいている」と分析する。

市民社会への浸透を危ぶむ声

市民団体「改憲・戦争阻止!大行進東京北部」事務局の川原成雄さん(60)は「訓練での自衛隊と自治体の協力も進み、自然災害に限らず有事の連携訓練になっている。いつでも出動できる態勢を常態化しようとしている」と指摘する。

吉川市が作成した訓練告知の張り紙には、自衛隊募集ページにつながるQRコードが添えられていたことについて、一部から「そこまでやるか」との疑問の声も上がっている。訓練が単なる防災訓練の枠を超え、市民社会への軍事的存在の浸透を図るものではないかとの懸念が広がっている。

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